日本版奴隷制度に代わる外国人受け入れ制度

坂中提案

生産人口、消費人口の減少や、過疎化などによる自治体消滅の危機の深まりを受け、「100年で2000千万人の移民受け入れ」による一億の人口の維持などの具体的な数字が、政府の委員会などでも挙げられるようになってきた。にわかに高まりを見せる移民議論だが、それに先立って政府は外国人労働者の受け入れを進めている。

政府は6月、建設労働者、介護労働者らを外国人技能実習制度の拡充で受け入れる方針を決めた。

だが私は法務省入国管理局に勤務していた時代から一貫して、非人道的で外国人搾取のかたまりの技能実習制度の廃止を強く主張してきた。
 
この制度の下では、技能実習生の送り出し国、国際研修協力機構等の管理団体、さらに農家、水産業者、零細企業の経営者などの雇用主が「家賃」「食費」「管理費」などにかこつけて寄ってたかって搾取する構造になっているので、実習生の手元に残る賃金は極めて少なく、「時給三百円程度」とまで言われている惨状だ。

最近、がんじがらめに縛る雇用主の下から逃れ、不法残留する外国人が急増していると聞くが、それもむべなるかなと言わざるを得ない。

すでに世界から「強制労働に近い状態」(米国政府)、「奴隷・人身売買の状態になっている」(国連)などの厳しい批判を受けている制度を拡充し、海外から外国人労働者を入れる政府の姿勢は理解できない。

深刻化する人手不足を補う一時しのぎの措置ということなのかもしれないが、それが払う代償は余りにも大きい。日本の外国人処遇の歴史に汚点を残す。

これは現代の日本が犯している人道問題である。その日本版奴隷制度を温存すれば、超少子化時代の日本の命取りに繋がる。奴隷制度と移民制度は相容れず、奴隷制度の廃止なくして移民国家・日本の健全な発展はないといわなければならない。

仮にそれを強行すれば、国際社会から「外国人労働者を奴隷として酷使する国」と批判される。そんな悪名が世界に定着すれば、世界の有為の若者は日本に見向きもしなくなる。当然、そのような恥ずべき制度を使って外国人労働者を入れる建設業界、介護福祉業界の企業イメージも大きく損なわれるだろう。

若い世代から見放された二つの業界は人手不足が加速し、倒産企業が続出することを覚悟すべきだ。

外国人技能実習制度に代わる妙案がある。政府は人手不足が顕著な産業分野に外国人材を潤沢に供給するため、「建設技術」「介護福祉」「製造技術」「林業技術」等の在留資格を新設し、取得を前提として在留状況が良好と認められる外国人については、入国後5年で永住を許可するのだ。

この永住を認める案を採用すれば、人手不足に悩む産業界にとっても必要な人材が安定的供給される。技術を身につけたいと願う外国人にとっても「安心して働ける」環境が整う。やがて、それは移民国家の一翼を担う制度に発展するだろう。

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