日本文化は「雑種文化」の優等生である

坂中提案

世界の諸民族と比較して日本人が排外的な民族だとは考えていない。概して言えば、日本では、縄文・弥生の時代から、先住民族と新参の移住者とが平和共存していたようである。あるいは、日本列島の中で居住地を隔てて住み分けていたのかもしれない。

いずれにしろ、原住民と移民とが激しく戦ってどちらか一方が皆殺しの目にあうようなことはほとんどなかったのではないか。各民族の末裔たちが現に日本にいる事実によってそれは証明される。

英国は何度も異民族に征服された恐怖体験があるので、イギリス人の外国人に対する見方はどこか冷たいところがあると感じられる。一方、大英帝国の末裔であるから、アングロ・サクソン優越主義の体質が根強く残っている。

漢民族は万里の長城を築いて異民族の侵入を防ぐ一方で、中華の意識に基づき異民族を見下す態度をとリ続けてきた。現代の中国人は中華思想にこりかたまった「エスノセントリズム」(自分たちが世界で一番優秀な民族という考え方)の世界チャンピオンである。

そのような両民族と異なり、日本人は「異人」を温かく受け入れてきた。大昔から日本人は、異国から海を渡ってきた異人を客人(まろうど)として、敬愛の念を持って迎えている。江戸時代の鎖国下にあっても、流れ着いた異国船の船員を人道的に扱っている。

人類史を振り返ると、民族や宗教の違いに起因する戦争の連続であった。しかし、日本列島が戦場と化した歴史に限れば、日本人は異なる民族との戦争も外国部隊による占領もほとんど経験していない。加えて、ユ―ラシア大陸から適度な距離の島国という地理的条件も有利に働いて、日本人は他の民族と純粋無垢な心で向き合える存在になったのではないか。

日本文化史が雄弁に物語るように、日本人は外国の文化や宗教を寛大な心で受けとめて自分のものにしてきた。日本文化は、日本人が世界の文化の精髄を取り入れて洗練されたものに磨き上げた「雑種文化」の優等生である。移民の受け入れも、広い心を持ち、尊大なところが少ない日本人なら成功に導けるだろう。

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