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日本型移民社会とは

私が提唱する「日本型移民社会」とは、欧米の移民国家が移民の社会統合に苦悩している状況に学び、日本的な「和」を重視しながら、社会的包摂を政策的にしっかりと保障していく社会である。まず、日本語や社会的慣習についての教育から始まり、専門知識や技術の習得など職業訓練を経て、それぞれの分野で活躍してもらい、安定した生活ができるようになった3年後、5年後というような段階で、永住を許可し、希望すれば国籍を取得できるようにする。職業訓練は、企業に任せると「研修」という名目で労働力として用いる例がまた出てきてしまう恐れがあるので、公的な教育機関が対応すべきだ。一定の技術・技能を修めた外国人が企業と正式な雇用関係に入るという仕組みを実現することが重要である。

農業・林業・漁業などの第一次産業分野は後継者難から就労人口が激減している。建設や製造業も人手不足が深刻だ。大企業を支える中小零細企業が後継者難でつぶれていく。こうした部分こそ移民政策で支えるしかない。

移民政策を取ることによって地方コミュニティの崩壊危機を脱する地域が増えるであろう。東日本大震災後も全国各地で記録的な地震や台風などの自然災害が発生しているが、若い世代が少なく、高齢者が多数占める地域に犠牲者が集中している。コミュニティが崩壊寸前の地域社会は災害に持ちこたえる体力がなくなった。若い移民を農業や漁業の在留資格で受け入れ、速やかに永住を許可し、移民として迎えるしか、第一次産業の生き残る道はない。