日本型移民国家の建設に大学革命が不可欠だ

坂中提案

大学や専門学校の経営者の一部には、教育内容の充実に意を用いることなく、単なる数合わせのため、少子化による日本人学生の激減を留学生で補って、経営危機を乗り切ろうと考えている向きもあるようだ。しかし、それはとんでもない考え違いだ。

私が東京入国管理局長を務めた時代(2002年~2005年)、そんなことをした大学、短大、専門学校はすべて不法就労など深刻な外国人問題に見舞われ、社会の批判を浴び、結局は、日本人の学生からも見放され、廃校、撤退を余儀なくされた。

そもそも日本の若者からそっぽを向かれた高等教育機関が、勉学意欲に燃える外国人を受け入れ、十分な留学生教育をできるはずがない。そんな教育機関は留学生を受け入れる資格はないと言わなければならない。

私は、外国人を有能な人材に育て、安定した職場を提供し、永住者で受け入れる「日本型移民政策」を提案している。

日本型移民政策の成否は、世界中の青少年を日本の高等職業専門学校・大学・大学院などの高等教育機関に引き寄せ、すぐれた人材に育て上げることができるかどうかにかかっている。

そのため第1に行うべきことは、東京大学の秋入学に端を発する大学開国、すなわち留学生30万人制度の確立である。世界最高水準の留学生教育を実施する体制を整え、世界各国の学生を公平に入れる戦略的留学生政策を展開する。そのため中国人が留学生の60%を占める寡占状態を抜本的に見直さなければならない。向こう10年間で中国人留学生の占める割合を10%の水準にまで引き下げる。

第2に、日本人が大学教授のポストを独占している鎖国的大学教授体制を改める。日本の大学教育および留学生教育のレベルアップを図るため、世界各国からえりすぐりの外国人教員を受け入れ、10年計画で外国籍の教授が全教授の10%を占める陣容へ移行する。日本の大学を世界の代表的な研究者に解放するのである。これを成し遂げると、結果として世界の最高級の人材を多数獲得することにつながるから一石二鳥だ。

第3に、農業高校など高等職業専門学校で専門知識・技術を身につけた留学生には、移民を切望している農林水産業や介護産業などの職場を紹介する。大学、大学院を卒業した留学生については、日本人の学生と対等の立場で就職戦線に参加し、しかるべき職業についてもらえるよう、政府は外国人の就職環境を改善する。

また、世界市場での生き残りがかかる日本企業は、経済のグローバル化に対応できる人材の確保の観点から、積極的な留学生採用計画を立てて実行する。副産物として日本人学生のグローバル志向の高まりと競争心の高揚が期待できる。

以上の施策に加え、世界各国の優秀な若者を日本に惹きつけるため、出入国管理行政上の留学生優遇政策をとる必要がある。大学・高等職業専門学校への入学が決まった外国人には、直ちに「留学」の在留資格(在留期間は在学期間に応じ4年、3年、2年)を与える。大学等を卒業し、日本の会社などへの就職が決まった外国人には、原則として入国後5年を経過した時点で「永住」を許可する。

留学生30万人計画を前倒しで達成のうえ、政府は本命の「留学生100万人計画」を立てる。留学生100万人制度は教育立国の象徴であって移民国家日本を支える大黒柱である。日本の大学は世界中の頭脳が集まる人材の宝庫にして移民の豊かな供給源になる。

留学生100万人体制が着実に進行し、留学生の7割が日本で就職し、移民になる体制が確立されると、高学歴の移民1000万人から成る日本型移民国家の建設は秒読み段階に入る。

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