日本人は全人類に開かれた移民国家をめざす

坂中提案

移民先進国の外国人処遇の歴史を概観すると、決して道理にかなったものばかりだったというわけではない。人種差別の意識とイスラム教徒に対する恐怖心が国民の心に刻まれている欧米諸国では移民の同化はあまり進んでいないようだ。それどころか、いまヨーロッパでは「宗教の崩壊と移民恐怖症の急増」(フランスの歴史人口学者のエマニエル・トッド)が進んでいる。

そのように認識するわたしは、移民後発国の日本は移民先発国の轍を踏んではならないと肝に銘じ、「万物は平等」と「人類は一つ」という日本人固有の思想を日本型移民国家の理念に体現した。

私が提唱する全人類に開かれた移民国家の構想は、白人至上主義とキリスト教の一神教の考えが根底にある西洋精神と対極をなす日本精神から生まれたものである。それは、地球にすむ人間・動物・植物のすべての生命体に神がやどると考える日本人の汎神論的世界観の産物である。

日本においては、神道、仏教、キリスト教など多様な宗教が平和共存している。くわえて、日本人の心の奥には文明化した現代世界では極めてユニークな宗教心、すなわち地球上に存在するあらゆる物と心を通わせ、それを信仰の対象として尊ぶ心がある。動植物の仏心を描いた江戸時代の伊藤若冲の絵画をこよなく愛する民族である。河童伝説や妖怪伝説の主人公を崇める民族である。鉄腕アトムやゴジラを創作した民族である。

これは仮説の域を出ないが、万物平等思想を抱き、万物に神の存在を認める日本人は、世界のどの民族も成し得なかった人類共同体社会をつくる資格がある唯一の民族ではないか。

移民1000万人構想は、50年の年月をかけて、現在のイギリス、フランス、ドイツ並みの「十人に一人が移民」の国へ移行するものだ。さまざまな民族の心を一つにする親和力の強い日本社会の特色に照らし合わせて考えると、それは十分達成可能な目標である。そればかりか、地球上のあらゆる人種・民族・宗教に甲乙はないと考える日本人には、移民先進国の上をゆく移民国家を築く潜在能力が備わっている、と私は考えている。

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