日本人に世界史的役割を背負う覚悟があるか

坂中提案

私は35年間の外国人行政の経験を生かし、100年先を視野に入れた移民国家像を立てた。これほど野心的な国家ビジョンは世界にもあまり例がないのかもしれない。

ある日本人ジャ―ナリストは私の未来構想を「実に壮大なユートピア計画」と紹介した。理想郷の建設をめざしていると言われればその通りである。問題はそれが十分な説得力を持ち、多くの国民の理解が得られたかである。

私は人口崩壊の危機が迫る日本を救いたい一心で移民国家の理想像を描いた。日本列島に住むすべての移民がうちとけて一つになる「人類共同体構想」である。

ところが、2016年に入り、世界の移民大国はこぞって移民拒否の方向に舵を切った。世界文明をリードしてきたイギリス、フランス、ドイツ、アメリカで異なる宗教と民族に対する寛容の精神が消え失せた。移民問題を主たる理由とするイギリスのEUからの離脱や、アメリカのトランプ共和党大統領候補の移民排斥・人種差別を主張する暴言の数々が物語るとおりである。排外主義の考えが世界を席巻しつつある今こそ、人類共同体社会の創成と永遠の世界平和体制の確立を提唱する坂中移民国家思想の出番がきたと実感する。西洋文明の末期症状が露呈した時代に遭遇するとは夢にも思わなかったが、非西洋文明の代表格の日本が果たすべき責任の重さを痛感する。

まず日本が日本型移民国家の理念を掲げ、50年間で1000万人の移民を入れると世界に向かって宣言すべきだ。地球共同体時代の今日、日本の精神風土に根ざした日本型移民国家の創造は、単に日本の人口危機への対応策を超えて、世界文明の危機を救う人類史的・世界史的意義を孕むものに発展する。日本人に世界史的役割を背負う覚悟があるか。

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