日本の移民政策は教育を重視する

坂中提案

日本が多様な民族から構成される移民国家になっても、国の基本的な枠組みは、日本語に代表される日本文化と、日本の社会・経済・法律制度が中心であることに変わりない。日本国の基本秩序の下で、移民が「日本が好きだ。早く日本国民になりたい」という気持ちになってもらえる社会環境を整えること、それが移民政策の究極の目的である。学者がいう社会統合政策である。

その目的を達成するためにわれわれは何を行うべきか。第一に、日本に入国した移民に日本語や社会の基本ルールを教える移民教育制度を確立する。第二に、国籍、民族を問わず、すべての人に機会均等を保障し、「移民が将来の日本に希望を持てる社会」をつくる。

ところで、日本が移民国家になれば、ドイツ、フランスなどと同じように社会問題を抱えることになるから、移民の受け入れに反対という意見がある。

しかし、日本の教育機関で外国人を一人前の職業人になるよう教育したうえで、就職を支援し、速やかに永住者の地位を与える日本型移民政策をとれば、国民が懸念する治安の悪化を招くことにはならないと考える。

ドイツやフランスで移民の受け入れがうまくいかなかったのは、定住外国人わけても移民二世に対する教育を熱心に行わなかったからだ。

移民の子供たちの多くが、言語能力に問題があって学校の授業についていけない。低学歴のゆえに適当な就職口もない。成人になっても生活保護に頼って生きていくしかない。そういう絶望的状態に置かれた若い移民の中から犯罪に走る者が出てきたのだ。

なお、2005年に移民国家宣言を行った後のドイツは、移民に対するドイツ語教育の充実など定住支援に力を入れた結果、今ではヨーロッパ第一の移民大国になった。4月18日の朝日新聞の「戦後、移民――日独世論調査」によると、実にドイツ国民の82%が「移民を受け入れてよかった」と回答している。

私が提案している育成型移民政策は、ヨーロッパの経験を教訓とし、日本語教育、文化教育を重視し、移民に安定した職場を紹介するものである。

およそ移民が志望校に進学し、希望する職業に就き、社会に適応し、安定した生活を送ることができれば、犯罪などの問題を起こすとは考えられない。

それに加えて、日本には移民を受け入れるための産業基盤も教育機関も精神風土もそなわっている。たとえば精神的土壌についていえば、移民に対する差別なども日本では諸外国のようにひどくならないと考える。欧米では白人至上主義と、根深い宗教対立が根底にあり、これが移民に対する偏見や差別を生んでいる。一方、多神教で人種・民族に優劣はないと考える日本人の心には、そのような宗教差別も人種差別もない。

これまでも日本人は外国の文化・宗教・言語を広い心で受け入れてきた。移民も礼を尽くして迎えるであろう。さらに努力すれば多民族共生国家を建設するのも夢ではないと考えている。

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