日本で移民排斥運動は起きない

坂中提案

移民反対派の人たちに欠けているのは人口崩壊の恐ろしさを正視しないこと、人口危機を乗り越えるための具体的政策を打ち出さないことである。

反移民陣営に属する人たちは人種差別的で移民憎悪のかたまりの集団だ。私はかつての「進歩的文化人」を思い出す。戦後の40年ほど、共産主義のソ連、中国、北朝鮮を絶賛し、日本批判を展開した学者、文化人のグループである。

1970年代後半、私が提案した在日韓国・朝鮮人政策論は、当時まだ知的世界で強い勢力を誇っていた進歩的文化人から袋叩きにあった。「大村収容所解体」「坂中打倒」の看板を掲げるデモ行進の標的になった。「坂中英徳は同化主義者・植民地主義者」と機関紙などで執拗に批判された。歴史は繰り返すということなのだろう。40年後の2010年代、ヘイトスピーチ団体などの反移民分子から「坂中英徳は売国奴」と罵倒されている。

昭和の進歩的文化人は共産主義シンパで反日本思想にこりかたまった知識人だった。平成の反動的文化人は国粋主義者で反移民を主張する知識人だ。両者は祖国の運命に無関心という点で共通する。批判するばかりで対案を出さない無責任体質でも瓜二つである。

移民反対派の人たちの中に、人口崩壊危機の深まりによって経済、社会、文化が衰退していく日本の将来を心配する人はいないようだ。彼らはもっぱら国民世論を反移民に煽ることに熱心な排外主義者だ。しかし、異なる民族に対する寛容の心がある日本の若者がそんなエスノセントリズムの考えに共鳴するとは思えない。

移民の受け入れに賛成の若者が飛躍的に増えている日本では、米国、ドイツなど移民先進国で盛り上がっている移民排斥運動が起きることはないと自信を持って言える。

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