文明開国・経済開国・移民開国

坂中提案

 平成の開国劇において環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加は序幕にすぎない。内閣の移民開国宣言で終幕を迎える。

 明治の開国は、西洋文明を積極的に取り入れた「文明開国」であった。戦後の昭和の開国は、貿易と資本の自由化を行った「経済開国」であった。今まさに国民的課題に浮上した平成の開国は、人口危機におちいった日本を元気にする「移民開国」である。日本が最後まで拒み続けてきた「人の開国」だ。

 移民開国はすなわち「移民革命」である。それは人口減少時代における究極の日本改革の嚆矢となる。日本人の生き方から政治・社会・経済のあり方にいたるすべてを根本的に揺り動かす日本革命に発展する。

 さて、日本が移民立国を国是とする国になると、人の移動・外交・経済・安全保障の分野で移民送り出し国との関係が強化される。移民外交と移民協定が日本外交の柱の一つになる。

 私は、友好国との移民協定に基づき看護師・介護福祉士などを移民として計画的に受け入れる体制を早急に確立し、環太平洋経済圏の一員になること、それしか日本の生きる道はないと考えている。また、環太平洋地域には、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと、世界の移民大国が顔をそろえる。

 日本がTPPに加入するとともに、50年間で移民1000万人を秩序正しく入れる「移民大国」の道を歩めば、移民立国の理念を共有する主要国が環太平洋地域に集結する移民国家連合が形成される。それにとどまらない。加盟国の間で人の移動が激しくなり、各国の国民の間に一体感が醸成され、人類の夢である「太平洋共同体への道」が開かれるかもしれない。

 安倍晋三首相にお願いがある。日本がTPPへの参加を正式決定するときにあわせて移民国家の名乗りをあげ、日本は米国、カナダなど移民先進国と連携して環太平洋地域における人の移動の拡大と世界平和に貢献することを世界にアピールしていただきたい。

 現在の日本は、「衰退する国」に向かうのか、「活力ある国」として生き残るのかの瀬戸際にある。人口危機の日本を救う移民政策の導入を躊躇している時間はない。

 さいわいぎりぎりのタイミングで移民政策論争が始まった。さらに、移民政策議論に神風が吹いた。今年の夏、経団連の榊原定征会長が、「日本は移民に頼らざるを得ない。経団連が中心となって受け入れのための制度を設計する必要がある」と、移民開国を国に迫った。少子化で人手不足に悩む産業界の要請にこたえて、内閣総理大臣が、移民立国を決断するのが民意を反映したスマートな政治手法であるといえる。
 

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