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教育重視の移民政策で高度人材を育てる

今後50年で1000万人の移民を受け入れる場合、世界から高度人材が日本に来るという幻想は捨てなければならない。この29年の入管政策の実績を見れば、それが失敗に終わったことは明らかだ。

移民時代の日本は、専門知識や高度技術を有する外国人は米国、英国、カナダなどの英語圏の国をめざし、漢字圏の日本には来ないと割り切り、国内の高等教育機関を活用して高度人材を育てるのである。日本の移民政策の要である人材育成型移民政策を積極的に展開すれば、高度人材に育った大量の移民が社会の各分野で活躍することになるはずだ。

大学などで志のある外国人に日本語・専門知識・専門技能をしっかり教え、政府が就職支援も積極的に行なって、国内で高度人材に育成するのだ。これを国家的事業と位置づけ、すべての教育機関の教職員を動員して移民教育に当たり、粒ぞろいの人材を社会に送り出す。そして、入管が安定した職に就いた外国人に対し速やかに永住者の資格(移民の地位)を与えるというものだ。

つまり留学生という入り口から持続的に移民を産み出すシステムだ。これは教育熱心な日本の国柄にぴったりの移民政策ではないか。少子化で経営難の教育機関に移民教育を担当してもらうので教育機関の有効活用に資する面も大きい。

移民教育を実践する場合に注文がある。初等から高等までのすべての教育機関において日本人の型に合わせるような教育をしてはならない。移民のユニークな発想や豊かな感性を殺してはならない。教育重視の移民政策を導入するのと合わせて画一化教育を全面的に見直し、移民の文化を尊重し、異色の人材を育てる教育への転換が欠かせない。

高度人材の受け入れを考える際の懸念材料がある。そもそも日本の大学、シンクタンク、民間の研究機関に世界人材を招聘しようという意欲があるのかという点である。世界各国から優秀な人材を招き、互いに切磋琢磨して研究業績をあげるという自由競争のメンタリティーに欠けるところがあるように、移民政策の専門家の目に映る。

まずは大学に新風を吹き込む。日本人が大学教授のポストをほぼ独占している鎖国的な大学教授体制を改める。日本の大学教育並びに留学生教育のレベルアップを図るとともに研究水準を高めるため、10年計画で外国籍の教授が全教授の10%を占める陣容へ移行する。若手の外国人研究者に日本の大学を開放するのである。全国の大学が実績のある外国人研究者に大学教授のポストを用意すれば、世界の頭脳が競って日本に来るはずだ。
超少子化の進行によって、特権にあぐらをかいてきた大学の大量倒産時代が始まる。自らの血を流す改革をやらない大学に明日はない。

私は、外国人を有能な人材に育て、安定した職場を提供し、永住者の地位(移民資格)で受け入れる「日本型移民政策」を提案している。これは同時に優良な高等教育機関の救済策でもある。

人材育成型移民政策の成否は、世界中の青少年を日本の職業高等専門学校・大学・大学院などの高等教育機関に引き寄せ、有能な人材に育て上げられるかどうかにかかっている。

大学関係者に注文がある。日本の移民政策を成功に導くためにも、大学の生き残りを図るためにも、今こそ「大学革命」を断行してもらいたい。

第一に、中身の濃い留学生30万人制度を早期に確立することである。世界最高水準の留学生教育を実施する体制を整え、世界各国の学生を公平に入れる戦略的留学生政策を展開する。

それを行なう前提として、中国人が留学生の約60%を占める寡占状態を抜本的に見直す。向こう10年間で中国人留学生の占める割合を10%以下の水準にまで引き下げる。それを実行しないと、留学生政策も移民政策も日本の若者と世界の若者から反発を受ける。のみならず多様な民族・人種からなる世界人材が活躍する移民国家も実現できない。

第二に、留学生30万人計画を速やかに達成のうえ、国は本命の「留学生100万人計画」を立てる。留学生100万人体制(日本の大学等で学ぶ移民二世を含む)は移民国家日本を支える大黒柱である。大学が世界人材を発掘し、教育し、日本社会に送り出す。100万人規模の留学生が学ぶ日本の大学には、世界各国から優秀な人材が続々集まってくるであろう。

留学生100万人体制が整い、留学生の7割が日本で就職し、日本に永住する制度が確立されると、1000万人の高度人材が移民(国民候補)として加わる理想の移民国家が成立する。