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政治家の覚醒を待つ

14年前に書いた『入管戦記』という本の中で私は、「人口減少時代の到来を契機として、日本人の生き方、日本国の民族的構成、社会経済制度などを根本から見直し、『新しい日本』に生まれ変わらなければならない」と、日本革命の必要性を強調した。しかし、その時からこの問題は一歩たりとも前に進んでいない。まったくもって私の力不足の致すところである。「日本国の民族的構成」の問題、つまり移民受け入れの問題をもっと早く解決し、本命の「日本人の生き方の問題」と「社会経済制度の根本的見直しの問題」に速やかに着手すべきであったと悔やまれる。

問題の所在について一部の専門家は気づいていると思うが、あまりに事が重大すぎてどこから手をつけたらよいのか見当がつかないのかもしれない。あるいは、日本のインテリは移民問題のときの対応と同じ態度――つまり人口ピラミッドの崩壊が日本の全面崩壊に直結することに恐怖を感じ、それを見て見ぬふりをしているのかもしれない。政府首脳、政府高官など政府当局者もこの最重要問題に触れることは決してない。いつもの例で「触らぬ神に祟りなし」を決め込んでいるのだろう。日本のエリート層の「座して日本の死を待つ」態度に強い憤りを覚える。

一例を挙げる。霞が関の高官たちが国家制度の存続に危機感を持って取り組む姿勢は全く見られない。それはわかりきった話だ。自分たちの縄張りを守ることしか頭にない官僚機構が自らの血を流す行政改革を行なうはずがない。国の統治機構の根幹にかかわる問題であるから政治家の覚醒を待つしかない。

しかし、移民革命にすら消極的な姿勢の政治家が、人口減少社会に対応するための政治制度改革、たとえば、①国会議員の定数を今の三分の二にまで減らし、有権者の数に比例する国会議員制度に改めること、②衆議院・参議院の二院制のあり方を根本的に見直すこと、③道州制の導入など中央集権体制を全面的に改めること、④政治制度の抜本的な改革に不可欠の憲法改正を断行すること等々、自らの身を削る制度改革に着手するとはとうてい考えられない。それどころか日本の政治家は政治制度改革と日本革命に対する最強の抵抗勢力になる可能性が高いと考えている。

既得権を手放す気がない政治家に国家制度・地方制度の全面的変革が期待できない以上、主権者たる国民が、社会革命と政治制度改革を政治家に迫るしかない。その場合、国民も、ライフスタイルを根底から改めるほどの気概を持って生活革命を行なう必要がある。

具体的には、①人類が未知の領域の超少子化社会・超長寿社会で平穏無事に暮らすため、贅沢と無駄を徹底的に省き、清貧の文明生活に改めること。②健康第一の生活を旨とし、元気な人は生涯働くこと。③税金などの負担増と社会福祉サービスの低下に耐えること。

   
以上の生活革命は苦渋の選択を国民に迫るものである。それは承知のうえで、未曽有の危機を乗り切るため、国民と政府にぜひ言っておきたいことがある。

〈国民は、贅を極める生活とは正反対の日本の伝統的な生活様式、たとえば、痛みを分かち合い、互いに助け合い、みんながつつましく暮らす生活に新たな価値を見いだすこと。政府は、経済至上主義の考えを改め、諸々の格差の是正に努め、国民がひとしく中流意識を持てる平等社会をつくること。この二つが、人口が減少し縮小していく社会で国民が充実した生活を送るための最低限の条件である。〉