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政治家のリーダーシップで令和維新を

法務省を退職後の14年間、新しい国を創建する移民国家プロジェクトに一民間人が主導的役割をはたしていいものか、政治の覚醒を待つべきではないのかという考えが頭をもたげ、政治との関係でずいぶん悩んだ。苦渋の決断であったが、国家の命運がかかる移民政策をタブー視する政治家の無責任な態度にしびれを切らし、思い切って政治の聖域に乗り出した。将来、各方面から民間人が出過ぎたまねをしたという批判を覚悟しての決断であった。

その皮切りが、2008年6月に自民党外国人材交流推進議員連盟がとりまとめた「日本型移民政策の提言」の原案の作成である。政治家の権力闘争の世界に深入りしたが、もとより私は権力志向の政治的人間ではない。移民政策を立てるのが生きがいのボランティア活動家である。

これがいわゆる「過ちの功名」というべきものなのだろう。それは望外の好結果をもたらした。移民政策は政治家の権力闘争の具にならずにすんだ。度量の大きい政治家に頼まれ、移民政策の素人の政治家から注文をつけられることなく、一般社団法人移民政策研究所所長の見識で日本型移民国家ビジョンの全体像を一気呵成に書き上げた。その結果、移民国家の創建という世紀の大事業は、民間の移民政策研究の専門家が筆を執った『日本型移民政策の提言』(2008年6月)に基づき進められることになった。このことの持つ歴史的意義は大きいと思う。

国民が心を一つにして空前の国家危機を乗り切るという大局的見地に立って考えると、結果はすべてオーライと言えるのかもしれない。ただし、手続き面を重視する立場から、民間人が出すぎたまねをしたと批判する向きが出てくるかもしれない。あるいは、移民政策の立案が坂中移民政策研究所長の手に委ねられた結果、移民政策をライフワークとする政治家の育つ機会が失われたという批判があるかもしれない。自分たちの無能力と無責任を棚に上げての理不尽な批判であるが、ともあれそのような批判もあることにも留意し、移民政策の研究者の立場から移民政策の啓発活動に主として理論面で貢献したいと思う。

移民国家への道が最終段階に入った2019年8月。私は、政治との関係について、政治家の顔が立つように気を配るとともに、黒子に徹する必要があると胸に刻む。元東京入国管理局長という昔の名前は捨てる。民間の移民政策研究所所長の立場に徹し、引き続き著作活動を通して国難に挑む。むろん今後も移民政策のオピニオンリーダーの任を全うする立場に変わりはない。

移民政策を巡る議論が本格化すると、私の果たすべき役割はいっそう重要になると覚悟する。わけても移民政策に賛成する国会議員が多数を占める政治状況を早く作り出す必要がある。

坂中英徳移民政策研究所長から国会議員各位へのお願いがある。移民国家の建国という日本の歴史を画する偉業は、政治家のリーダーシップで有終の美を飾っていただきたい。2020年の東京五輪の時に移民国家・日本が本格的に始動するため、令和元年中の移民政策関連法案の成立に尽力願いたい。新しい元号の日本が新進気鋭の移民国家として世界に飛び立つのである。

後世の歴史家はこれを「令和維新」ないしは「令和革命」と命名するだろう。