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我が論文人生を語る

多数の移民政策論文集を発刊した実績が物を言って、私は時の人になるかもしれない。時運に乗って移民国家の生みの親になるかもしれない。だからといって、そのような時代の到来を心から喜ぶ気にはならない。日本国にとってそれはとてもハーピーなことだが、私にとってそれは不安がいっぱいの未知の世界だ。いくらけなされても無視されも平気だが、人物評価が一変するといたたまれない気持ちになるであろう。素にして野の移民政策研究所所長として人生を締めくくりたい。

論文人生において名誉も悪名も山ほどいただいた。もうこれ以上のものは何もいらない。著作一覧を活字として残したので、私がこの世に存在しなくなった後も移民政策のあり方をめぐって活発な議論が展開されるだろう。にぎやかな死後の世界を想像するとわくわくした気分になる。

我が人生を一言でいうと、独創的な論文で始まり独創的な論文で終わる人生と要約できる。これ以上の中身の濃い人生はあまり例がないのかもしれない。ただし、44年の論文人生において心からの喜びを味わったことはない。つらかったことは覚えている。論争的・挑戦的な政策論文を書く時には地獄の苦しみを味わったのだろう。