平和を願う心は人類のDNAに備わっている

坂中提案

民族や文化の異なる人と人との平和共存の道は決して平坦ではない。人類史の書をひもとけば、異なる民族間の戦争が絶えなかったことは歴然としている。21世紀の今も、人間の心に根深く残る民族の生存競争に起因した戦争が頻発している。縄張り争いや生存闘争は人類を含む動物の本能なのかもしれない。

その一方で、戦争のない世界を願う心はあまねく人類のDNAに備わっていることも事実である。困難の道であるが、人類の叡智が恒久の世界平和を実現する可能性も全くゼロではないと考えている。

一般論をいえば、自らの民族と文化に誇りを持たない国民は異なる民族と文化に寛容になれない。外国人はそのような国民に敬意を表さない。

日本が移民の受け入れで成功をおさめるには、日本人と他の民族が互いの立場を尊重し合って生きる社会、すなわち多民族共生社会をつくる必要がある。

そのとき日本人に求められるのは、日本人としてのアイデンティティを確認するとともに、異なる民族を対等の存在と認めることである。日本民族の根本精神を堅持するとともに、ほかの民族の固有文化を尊重しなければならない。

世界の民族が移住したいと思う国は、日本人が日本人としての誇りを持ち、移民が移民としての誇りを持てる社会である。

わたしは、移民国家日本の究極の目標として、人類共同体社会の樹立を掲げている。千年前から日本列島に住んでいる日本人と、21世紀に世界各国から移住してきた移民とが日本国民として一つにまとまる社会だ。

世界の主要民族は、大なり小なり「エスノセントリズム」(民族的自己中心主義)の考えを持っている。しかし、今の日本人には自分たちが最も優秀な民族という民族的優越感はほとんど見られない。世界の諸民族のなかで日本人は謙虚な民族の部類に入るのではないか。

それに加えて、日本人は古来、人類はもとより動物・植物・鉱物を含む万物平等思想をいだいている。地球上に存在するあらゆる人種・民族に甲乙はないと考える日本人なら、地球上のすべてのひとびとが永遠の平和をエンジョイする理想世界を築けるのではないかと想像をたくましくする。

私の親友に敬虔なイスラム教徒がいる。27年前に難民として日本に来たパキスタン人
である。いま、東日本大震災の被災地に家族ともども移住し、支援活動に熱心に取り組ん
でいる。彼は多数の被災者の尊敬を集めている。

そのパキスタン人は坂中の移民革命思想の信奉者である。2013年2月、彼を激励するため宮城県の被災地を訪れた際に、彼は私の人類共同体思想の世界史的意義を強調した。そのうえで、それは「アニミズムの世界観が根底にある坂中さんのユニークな発想のたまもの」と指摘し、坂中構想の将来を予言した。

〈坂中さんの人類共同体構想は世界平和に貢献する。神の加護があるので近未来の地球社
会で人類共同体社会が実現している。坂中さんは世界の救世主になる。〉

信仰心の厚いイスラム教徒が真剣な顔で「坂中英徳は世界の救世主」と熱弁を振るうの
を聞いてびっくりした。異国の神の助けがあって百年後には坂中構想が具体化しており、
世界平和が現実のものになっているという。

在日パキスタン人の予言が適中するかどうかは不透明であるが、世界平和を願う心が人種・民族・宗教の別なくすべての人々のDNAに組み込まれていることは確かなようだ。

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