天命と天職と奇跡

坂中提案

合理主義の権化の私が71まで生きて、「天命」も「天職」も「奇跡」もすべて存在すると思うようになった。どうしてそういう気持ちになったのか。自分の能力をはるかに超える仕事を成し遂げ、新しい国を創る希望に燃える進境に達したからだ。

偶然のめぐりあわせで日本の未来を決める仕事に出会った。移民国家理論の金字塔を打ち立てた。移民国家への道を開いた。そのように考えて心が落ち着いたのだろう。

神様が見ているので人の道に外れたことはできないと心に刻み、私なりに正しいと考える生き方を貫いた。難問難題に対し言論で堂々と勝負した。

泥沼に陥り、もがき苦しむ、しんどいことばかりの職業人生だった。だが、無人の荒野を一人行くがごとく、やりたいことを思う存分やった。死闘を繰り広げる中で奇跡と遭遇する体験もした。

学生時代の私は平凡な学生であり、平穏な人生を望んでいた。それで国家公務員の職を選んだ。法務省入国管理局という外国人問題を所掌する地味な役所に入った。その時、まさか禁忌との闘いに終始する激動の人生が待っているとは夢にも思わなかった。

事実、どんなハプニングが起きても不思議でないのが人生だ。晩年になって人口崩壊という非常事態に見舞われた祖国を再建する「移民国家の設計者」の役が回ってきた。日本の未来が双肩にかかることになった。平成時代の日本人が引き受けなければならない重責である。結局そうなるよう運命づけられていたということなのだろう。天命として謹んで承ることにした。

移民の受け入れは天の時を得て成功をおさめるだろう。私の運は天職を授かったことで尽きたと思うが、移民国家ニッポンの国運は隆盛に向かうであろう。

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