大学革命が必要
移民革命と大学革命のめざす方向が同じで、世界人材の獲得・育成である。その意味では、2008年7月、当時の福田康夫内閣が打ち立てた留学生30万人計画は、教育重視の日本型移民政策の強力な推進力となるものだ。
現在、日本の大学等を卒業後も日本にとどまる留学生は約35%である。移民政策で生産人口を飛躍的に増加させるため、この数字を70%近くまで引き上げる必要がある。
いっぽう、近年、アルバイトが主目的の「出稼ぎ留学生」が激増しているが、そのような「にせ留学生」の入国を認めてはならない。入国管理当局の厳正な対応をお願いする。
世界人材の獲得のために大学が第1に行うべきことは、勉学意欲のある世界の青少年を日本の大学にひきつけ、充実した留学生教育を実施し、優秀な人材を日本社会に送り出すことである。
第2に、高等職業専門学校で専門知識や技術を身につけた留学生については、移民を切望している農林水産業や介護産業などの職場を紹介する。大学、大学院を卒業した留学生については、日本人の学生と対等の立場で就職戦線に参加し、しかるべき職業についてもらえるよう、政府は外国人の就職環境の改善を図る。それとともに、世界市場での生き残りがかかる日本企業は、少子化時代が続く日本の人口動向を計算に入れて、かつ経済のグローバル化に対応できる人材を確保する観点から、積極的な留学生採用計画を立てる。
第3に、法務省入国管理局が留学生優遇政策を打ち出す必要がある。大学・高等職業専門学校への入学が決まった外国人には、直ちに「留学」の在留資格(在留期間は在学期間に応じ4年、3年、2年)を与える。大学等を卒業し、日本の会社などへの就職が決まった外国人には、原則として入国後5年を経過した時点で「永住」を許可する。
以上の三位一体の留学生関連改革を行えば、日本の高等教育機関は世界中から志のある若者が集まる人材の宝庫にして高度人材の移民を生み出す供給源となる。それによって日本型移民政策の基礎が固まるとともに、1000万人の移民受け入れが順調に走り出す。