夢を追い求める人生にピリオドを打ちたい

坂中提案

「夢を描かなければ実は結ばない。大きな夢を描けば大きな花が咲く」。これは私の好きな言葉である。新国家を創る大望を抱く私は、年をとるにつれて夢がどんどんふくらんでいった。そのため夢をつかまえるのがますます困難になった。それはいわば自分がまいた種だ。そんな私は至福の時をすごしてきたと言えるのだろうか。じつは必ずしもそうとは言えないのだ。この13年間、夢の重圧に押しつぶされそうになり、夢を追い求める人生にピリオドを打ちたいと思う時がしばしばあった。

ただし、この2年は打って変わって、今が勝負の時だと判断し、移民政策論文を必死の思いで書いている。悲壮な決意表明の最たる著作が、2018年1月に出た『日本型移民国家の世界的展開』(移民政策研究所刊)である。欧米の主要移民国家が移民・難民に対して扉を閉じる方向にある中、日本のみならず世界の移民政策をリードする気概をもって筆をとった。身も心も完全燃焼し、人類共同体構想を柱とする移民国家のあるべき姿をうたい上げた。

そのかいもあって、日本の若い世代の多くが移民の受け入れに賛意を表するところまできた。世界の若者が反移民の動きを強める中で、真心をもって移民を迎える用意がある日本の若者を誇らしく思う。度量の大きい若者たちが心を一つにしてつくりあげる移民国家の将来は洋々たるものがある。地球市民的な感覚を身につけた若者が中心となって運営する移民国家ニッポンは世界の頂点に上り詰めるだろう。

今の私は移民国家の頂点の八合目までの仕事をやり終えてほっとした気持ちである。歴史は新しい国家の樹立に向かって動き出した。もう年老いた移民政策研究所所長が先頭に立って突っ走る時代ではない。私の長いひとり旅は終わった。世界をリードする移民国家をつくるという正念場の仕事は有為の若者たちと手を組んで完成したい。そして、日本列島に大きな花を咲かしたい。

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