多神教の日本人は「人類の世界共同体」をめざす

坂中提案

世界の移民問題の専門家は、人類の多様性を強調し、「多文化共生社会」を目標に掲げるのが一般的なスタンスである。

一方、私が提唱する移民国家の理念は、人類の同一性を強調し、一段と高い目標の「多民族共同体国家」の創造をめざすものである。

人類は多様な民族と人種に分かれているが、人間の根の部分の文化と価値観は共通するところが大部分である。もともと一つの生命体から進化してきた人類は、人種や民族が違っても同じ人間どうし、相互にコミュニケーションをはかり、相互に共感し、相互に理解できる存在である。

人類の本質に照らして考えると、「人類がうちとけて一つになる融和社会」(人類の世界共同体)の樹立を日本が国家理念に掲げても、それは決してはかない夢と消えるユートピア物語ではない。日本人と移民が心をこめて取り組めば、その実現の可能性はある。それを成就すれば人類史に刻まれる快挙となる。

地球上の諸民族が団結して一つの民族になるためには、日本に永住するすべての民族が、「人類は一つである。民族や文化の違いはあってもわずかである」という普遍的な人類像を共有することが不可欠である。

日本人は古来、人間はもとより動物、植物、鉱物など自然界に存在するすべての物と心を通わせ、そこに神が宿ると信じている。万物平等思想(アニミズムの自然観)をいだいている。「静けさや岩にしみいるせみの声」(松尾芭蕉)の世界である。それは万物の共存共栄を唱える自然哲学でもある。万物の霊長(人間)の思い上がりを戒める日本人の叡智でもある。
日本人の宗教心の根底には八百万の神がみが鎮座している。一方で、仏教やキリスト教など異国の神がみを進んで受け入れてきた。

和の心と寛容の心も健在である。もてなしの心ですべての民族を等しく遇する日本人なら、地球上の諸民族が一つになる理想郷を築けるのではないかと想像している。

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