外圧と開国

坂中提案

2011年1月、米国政府、在京米国大使館と太いパイプがある在日アメリカ人から、「坂中さんの移民政策を米国政府が応援したい」という申し出があった。私は「今は黒船の時代ではない。日本の移民開国は日本人の責任でやる」と答えた。それに対して彼は「移民革命の99%は坂中さんがやりなさい。1%はわれわれが応援する」と述べた。そのときの火花が散るような言葉のやりとりを一言一句覚えている。

さて、2015年2月、人通りの多い渋谷の繁華街をバックに、英国BBC放送の大井真理子リポーターのインタビューを受けた。テーマは「日本の移民政策をめぐる最近の状況について」であった。そして同年3月、英国BBC放送のワールドニュースのテレビとラジオでそのインタビュー記事が報道された。

BBCワールドニュースは200以上の国と地域で放送されたので、私の立てた移民国家構想は世界の人々の耳目をひくことになった。

世界第三位の経済大国の日本が、人口問題と移民問題にどのように対処するかは、世界各国の最大関心事の一つである。英国BBC放送のような世界を代表する報道機関からの、日本の盛衰がかかる移民政策に関するインタビューに答えるのは、本来は政治家の役割である。しかし残念ながら、今の日本の政治家に移民開国の必要性を語る見識のある政治家はいない。

それで、世界のメディア関係者の間で日本の移民政策を一身に担う人物として知られている坂中英徳にお鉢が回ってきた。私は個人的意見にすぎない移民国家ビジョンを世界の人々に語った。

BBCニュースは世界の世論形成に大きな影響力があるので、世界の多くの人が日本の移民開国を待ち望む状況が生まれる。移民国家ジャパンの誕生に期待を寄せる世界の声に日本の政治がどうこたえるか。それがこれから問われることになる。

おそらくBBCワールドニュースの報道を機に、世界の世論が日本の移民開国を期待するという構図が成立するであろう。それは日本にとって不名誉なことであるが、外圧に従うことでしか自国の運命を決められない国民性と政治体質――日本の近現代史においてよく見られる国の基本方針の決め方のパターン、それが天下にさらされる。

移民革命の旗振り役を務める私は断腸の思いであるが、人口崩壊の危機が迫るこの期に及んでも政治家が移民立国について自主的に判断できないのであれば、移民問題は世界の待望論にこたえる形で政治決断するのもやむを得ないと考えている。

仮に世界の世論の後押しを受けて日本政府が移民立国にふみきったとしても日本人はそれを何ら恥じることはない。世界の模範となる日本型移民国家の理論的基礎を確立したのは、世界のメディアからミスターイミグレーションと認められた日本人であるからだ。

その事実を世界の人々に知ってもらいたいと思って、2015年5月、私の移民政策理論の集大成の英文図書『Japan as a Nation for Immigrants』を発行した。この論文は世界の知識人から好評をもって迎えられた。結果、世界列強の圧力に屈した幕末から明治にかけての開国や、マッカーサー憲法と呼ばれる日本国憲法の制定とは異なり、日本を移民国家に導くのは日本人の坂中英徳であることが世界に広く知られることになった。

最後にこれだけは言っておきたい。いうまでもなく、国家・国民の自主的判断に基づき国の形を決めるのが正しい道である。しかし、近現代の日本の歴史を振り返るとき、いわゆる「外圧」が日本に好ましい結果をもたらしたことはまぎれもない事実だ。明治の開国と昭和の日本国憲法が日本の飛躍的発展の基礎になった。それらと同じように、平成時代、世界各国の人々の熱烈な歓迎を受けて誕生する移民国家の前途には洋々たるものがあろう。

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