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外圧と移民開国

2011年1月、米国政府、在京米国大使館との太いパイプのある在日アメリカ人から、「米国政府が坂中さんの移民政策を応援したい」との申し出があった。数日間熟慮して私は「今は黒船の時代ではない。日本の移民開国は日本人の責任でやる」と返答した。そのとき彼は「移民革命の99%は坂中さんがやりなさい。1%はわれわれが応援する」と述べた。そのときの火花が散るような言葉のやりとりを鮮明に覚えている。

世界第三位の経済大国の日本が人口問題と移民問題にどう対処するかは、世界各国の最大関心事の一つである。米国のワシントン・ポストやAP通信、英国のエコノミストやBBCニュース、フランスのAFP通信、中国の人民日報など、世界を代表する報道機関からの日本の移民政策に関するインタビューに答えるのは、本来は政治家の仕事だ。しかし、日本の政界に移民政策に関する見識のある政治家は一人もいない。

そのような次第で、世界のメディア関係者の間で日本の移民政策を一身に担うミスターイミグレーションの名前で知られる坂中英徳にお鉢が回ってきた。私は民間の移民政策研究所の所長の立場から、私の考える移民国家ビジョンを世界の人々に披露した。世界のメディアから取材を受けた数は50を超える。その結果、坂中英徳の個人的見解に過ぎなかった日本の移民国家ビジョンが世界中に広まるとともに、世界の世論が日本政府に移民開国を迫る構図が成立した。
 
このような光景は日本にとって不名誉なことであるが、外圧に従うことでしか自国の運命を決められない国民性と政治体質――つまり日本の近現代史においてよく見られる国の基本方針の決め方が世界中に知られるところとなった。

移民革命の旗振り役を務める私は断腸の思いであるが、人口ピラミッドの崩壊危機が迫る今日ただいまも政府首脳が移民立国の決断をためらっている現状に鑑みると、日本の移民開国を求める世界のひとびとの期待に応える形で移民国家へ転換するのもやむを得ないと考えている。

仮に、世界各国の人々の声援を受けて日本政府がしぶしぶ移民開国に踏み切ったとしても、日本国民は何らそれを恥じることはない。世界の模範となる日本型移民国家ビジョンの理論的基礎を確立したのは、世界のメディアから日本の移民政策のパイオニアと評価されている移民政策研究所の所長であるからだ。世界列強の圧力に屈した幕末から明治にかけての開国や、「マッカーサー草案」を押し付けられたとされる日本国憲法の制定とは異なり、日本の移民革命を先導してきたのは坂中英徳であることは世界の識者の間で広く知られている。

最後にこれだけは言っておきたい。国家・国民の自主的判断に基づき新しい国の形を決めるのが正しい道である。ただし、近現代の日本の歴史を振り返るとき、いわゆる「外圧」が日本に好ましい結果をもたらしたことも事実だ。明治の開国と昭和の日本国憲法が日本の飛躍的発展の基礎となったことは紛れもない事実だ。平成時代に胎動し新元号の下で誕生する移民国家・日本は、日本のみならず世界の若者から移民の理想郷として称えられるであろう。