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外国人労働者という言葉は禁句になった

  以下は、私が2010年11月「移民に関する世界有識者会議」(世界経済フォーラム主催)に出席したときの感想である。欧米の移民政策の専門家の間では、移住者の立場からの「エミグラント」と、入国管理の立場からの「イミグラント」の言葉がもっぱら使われていた。エミグラントが約7割で、イミグラントが約3割の割合で使われていた。なお、「奴隷労働者」はもとより、それと近接関係にある「外国人労働者」という言葉も禁句になっていた。3日間の会議において出席者から「外国人労働者」という言葉が発せられることはなかった。

  ひるがえって日本の政治家やジャーナリストの世界では「技能実習」「単純労働」「外国人労働者」という言葉が大手を振って歩いている。社会の一員として迎える移民の受け入れと、労働力としてこき使う外国人労働者の受け入れとの違いや、国連などから「日本版奴隷制度」と酷評されている技能実習制度と、人類同胞として永住者として入れる移民政策とは相容れないとの認識が十分ではないと猛省を求める。

  外国人を労働力としてしか考えない国に有為の外国人は来ない。外国人を低賃金労働者と見下す国民は異なる民族との共生関係を築けない。このことは内外の移民政策の専門家の常識である。

  1200年ほど続いた移民鎖国の時代は終わった。安倍晋三首相が国会で「外国人との共生社会の実現」を語る時代が始まった。その場合、国民と外国人労働者との共生関係が成立しないことは言うまでない。

  2018年12月20日の記者会見において明仁天皇(現上皇)は、「各国から我が国に来て仕事をする人々を、社会の一員として私ども皆が温かく迎えることができるよう願っています」と、移民社会の未来を照らす方針を明らかにされた。

  国民が一丸となって世界の模範となる移民社会をつくる時代の幕が開いた。日本の移民国家ビジョンの核心部分すなわち「人類共同体社会の理念」が世界の移民政策をリードする時代が近いと予感する。