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坂中論文の坂中英徳はまだ生きているのか

「坂中論文の坂中英徳はまだ生きているのか。ユートピア物語をまだ懲りずに書いているのか」と驚いている人もおられると思う。どっこい坂中英徳は健在である。ここまで生かしてもらい、これだけの数の論文を書かせてもらって感謝の気持ちでいっぱいである。以下は、山田風太郎の『人間臨終図鑑』(徳間文庫)を就寝前に読んで人間の死に際の研究をしている私の心境である。「書きたいことを書き尽くしたのでいつ心臓が止まっても思い残すことはない」。

激動の論文人生を回顧すると、日本の運命に関わる文章を書くことの重圧にあえぐ日々を送ってきた。それを持続力のある強靭な精神力で持ちこたえたからこそ今日の自分があると思っている。私にとって生きることは耐えることであった。

事の重大性に鑑み、また100年後の人々の眼にも触れることを意識し、未来の人々と真剣勝負を挑む決意で筆を執った。ただし、私の力不足のせいで世間からなるほどと思ってもらえる政策論文は一つもない。もっと説得力のある文章を作れなかったのか、あの部分は舌足らずであったなど悔いの残る論文ばかりである。心をこめて書いた作品が国民の誰からも一顧もされなかったことを寂しく思うが、それもいたしかたない。その実現が容易ではない大言壮語の論文を並べた文筆家の宿命と受け止める。

私の立てた移民政策の中には、大胆に未来を切り開くもの、正鵠を射たもの、過ちを犯したものなどいろいろあると思う。それらのことについては将来の歴史家の判断に委ねる。