1. TOP
  2. 政策提言
  3. 坂中論文の先見性が評価される時代

坂中論文の先見性が評価される時代

「今後の出入国管理行政のあり方について」(1975年執筆)のように賛否両論の激論が戦わされ、非難罵倒にさらされた論文はあまり例がないのかもしれない。もっとも、だからこそ発表後半世紀近くたった今も「坂中論文」の略称が広く世間に通用しているのだと思う。

坂中論文とともに波乱万丈の人生を歩んできた私は、移民政策をめぐって国民的議論が熱を帯びるようになったまさにいま、坂中論文の持つ先見性が評価される時代がきたとしみじみ思う。

それにしても、特にこの数年、日本と韓国の関係は戦後最悪の状況にある。隣国との冷え込んだ関係を見るにつけても、在日韓国人問題を少数民族問題として日韓間の紛争の種にしてはならないという確固たる信念に基づき、法的地位問題や民族差別問題などの諸懸案の解決に尽力し、この問題の平和的解決への道をつけたことは正解であった思う。孤軍奮闘の闘いを強いられる中、私がこの問題をライフワークとして取り組んでいなければ日韓関係は泥沼に陥っていたかもしれないと思うと、身の縮む思いがする。