坂中英徳の「移民政策のすすめ」

坂中提案

以下は『入管戦記』(講談社、2005年)の「はじめに」の抜粋である。これは国家公務員を辞した2005年に書いた「移民政策のすすめ」である。移民政策が重要局面に入った今日、私にとってこれは初心を忘れないための備忘録である。

〈日本はまもなく、超少子化に伴い、世界の歴史上もあまり類のない急激な人口減少期に入る。政府は、2050年には1億人を切り、2100年には6400万人へと半減すると推計している。日本の未来はどうなるのだろうか。
人口激減社会に対応するため、明治維新に匹敵する国の大転換が求められることは必至である。幕末から明治にかけて「攘夷」と「開国」とで国論を二分する激論が闘わされたときのように、いまこそ、国の大改革に向けて、活発な国民的議論が行われるべきである。
私は、本書において、人口減少社会への対応のあり方として、移民政策の視点から、ふたつのシナリオを提示した。移民鎖国を堅持し、人口の自然減に全面的に従って縮小してゆく「小さな日本」の道と、人口の自然減を移民政策で補い、経済大国の地位を守る「大きな日本」の道である。どちらのシナリオを選ぶにせよ、人口減少社会に生きる私たちは厳しい試練に立ち向かわなければならない。
日本の百年の計を立てる重要課題について、国民の態度を決めるべきときが迫ってきた。新しい国のあり方を決めるのは国民である。そのための国民的な議論を期待する。
とくに、私たちの未来は移民とどのような関係を築くかによって決定される。どうすれば移民と共生することができるのか。それは、日本のなかに「世界」を取り込むことである。異なる民族の存在を許容することである。私たち日本人にそういう未来社会を創る覚悟と矜持はあるのだろうか。〉

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