坂中英徳とは何者か

2014年の春、私の移民国家ビジョンを評価する在日アメリカ人から「坂中さんのような大構想を提案する日本人がいるのは不思議。どんな人間なのかに興味がある」と言われた。そのとき「そんなことを聞かれても自分ではわからない。そもそも『坂中英徳とは何者か』について考えたこともない」と答えた。もっともこの質問に触発され、それ以後は自分自身のことにつて真剣に考えるようになった。
自分では国家の大事を成すような人物ではなく、日本人の血が通った普通の日本人だと思っている。だが世間はそのようには見てくれないようだ。「革命家」というおだやかでないレッテルを貼られる一方で、1970年代の在日朝鮮人政策論から2000年代の移民国家論までの政策提言はことごとく批判・罵倒の対象となった。右翼からも左翼からも保守派からも過激派からも非難・中傷の集中砲火を浴びた。
島国根性の持ち主が多い国内では私の革命的な移民政策を支持する国民は皆無に等しいが、世界のジャーナリストと知識人はいつも私の味方であった。移民政策論を評価するだけでなく「ミスターイミグレーション」の通り名を世界に広めてくれた。
欧米の知識人にとって私は「ミステリアスな存在」と映るようだ。仲間うちだけで談合して国家の大事を決める日本社会から、世界的・人類史的視点に立って人類共同体論を展開する日本人が現れたことが不思議でたまらないようだ。
自画像を述べると、アニミズムの世界観を持つ縄文人の「野生の思考」に学び、古代人の純真無垢の生き方に憧れる日本人である。江戸時代のいわゆる武士道精神を金科玉条とする古いタイプの日本人である。あえて言えば「令和のラストサムライ」というあたりが的に近い人物像なのかもしれない。