坂中移民国家論の根本理念――世界平和の実現

坂中提案

民族や文化の異なる人と人との平和共存の前途は険しい。人類史の書をひもとけば、異なる民族間の戦争の歴史であったことは歴然としている。文明が進んだ二十一世紀の世界でも、人類の本性ともいうべき民族と宗教の問題に起因する戦争が頻発している。また、動物社会に見られる縄張り争いや子孫を残すための生存闘争も人類の本能として根強いものがある。

しかし、その一方で、平和を希求する心が人類のDNAにインプットされているのも事実である。世界の人々の理性と平和を願う心がひとつになり、世界平和体制を創る夢が二十二世紀中に実現することを念ずる。わたしは、人間と人間が戦争を繰り返し、人類を全滅させることは絶対あってはならないとひたすら祈念する文明人の良心にかける。

地球上で戦争が絶えない根本原因は、知恵が進んだ人類社会にしか存在しない民族精神と宗教心が厳然として存在すること、それぞれの民族が文化と宗教の優劣を競って戦争を繰り返すことにある。人類の心に深く根ざした民族と宗教のちがいを平和裡に克復しないかぎり、世界の平和は永久に実現しない。
 
以上のような問題意識に基づき、わたしは次のような大胆な仮説を立てた。「異なる民族と宗教に対する寛容の心がある日本人は、人類社会がかかえる永遠の課題を乗り越える稀有の存在ではないか。ほかならぬ日本人は、様々な民族や宗教と上手につきあうことに長けた民族であり、民族問題・宗教問題を平和的に解決する潜在能力を有しているのではないか」。

そして、2014年4月の南カリフォルニア大学主催の「日本の移民政策に関するシンポジウム」において、坂中移民国家論の根本理念と位置づけられる人類共同体論と世界平和思想を世界の移民問題の専門家に披露した。

〈日本人は古来、人間はもとより動物、植物、鉱物など自然界に存在するあらゆる物と心を通わせ、自然に親しみ、そこに神が宿ると信じている。自然と自己を同一視する万物平等思想(アニミズムの自然観)を抱いている。それは人類を含む万物の共生につながる自然哲学である。万物の霊長の思い上がりを戒める日本人の叡智である。
 八百万の神々を受け入れ、地球上に存在するすべての人種・民族はみな平等であると考える日本人こそが、人類の悲願である地球共同体を創造できるのではないか。〉

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