坂中構想の到達点――地球共同体の創造

坂中提案

人口が激減する50年後の日本は、世界有数の経済大国、軍事大国の地位は望むべくもない。そんな陳腐な国家目標に代えて、移民大国にふさわしい新国家理念を提案したい。

新日本文明は人類愛で世界のトップの座を目ざしてはどうか。世界に先駆け、日本人と移民が協力し、日本列島の中に人類共同体をうちたてるのだ。それはとりもなおさず、唯一の戦争被爆国の日本が世界平和運動で先導役を務めることを意味する。

和の心がつまった日本型移民国家の究極の目標は、世界のすべての民族が和の精神で一つになる地球共同体の創造である。すなわち強固なる世界平和体制の構築だ。

日本文化史が雄弁に物語るように、日本人は外国の文化や宗教を寛容の精神で受けとめ、日本独自のものに発展させてきた。たとえば華道や茶道に代表される日本文化は、先祖代々の日本人が、世界各地から渡来した文化を旺盛な好奇心で受け入れ、それを自分たちの好みに合うものに磨き上げた雑種文化の優等生である。移民の受け入れも、世界のひとびとに開かれた仏心を持つ日本人なら成功をおさめるにちがいない。

以上に述べた移民国家の理想像と永遠の世界平和の夢を描いた著作が、このたび上梓する『日本型移民国家の創造』(東信堂、2016年)と、英語論文『Japan as a Nation for Immigrants』(移民政策研究所、2015年)である。このふたつの著書の発刊を機に、移民国家のあるべき姿について内外で議論が沸騰することを期待する。

ところで、戦争が絶えない世界の現状を見れば明らかなように、地球規模での恒久平和の実現は夢のまた夢の段階にある。そのことは重々承知しているが、抑圧されていた民族・宗教エネルギーが噴出し、世界各地でテロや内乱が頻発し、第三次世界大戦の勃発のおそれすら感じられる昨今、前掲の英文著作で次のような「世界平和宣言」を世界に向かって発信したことは意味があると思っている。

〈日本の移民政策は、人口危機に瀕した日本を再生させる国家政策にとどまらない。地球上の諸民族が和の心で平和共存する世界を希求する世界政策でもある。日本の移民革命思想は、日本のみならず世界各国に根本的変革を迫り、すべての民族の共存共栄と世界平和に貢献し、国境を越えて人類の一体化が進むグローバル時代に生きる地球人への最高の贈物になるだろう。〉

私の移民政策論の発展を見守ってくれた内外の友人たちは、移民国家の理想像の創造と、人類共同体・地球共同体・世界平和体制の確立を一体不可分のものと関係づけた移民国家論を坂中構想の到達点と評価する。

和を尊ぶ日本精神の所産である移民国家の理念が世界文明の新地平を拓く夢を持ち続ける。22世紀のいつの日か、平和の心をはぐくむ日本の土壌で成長した世界平和哲学が地球人たちを平安に導く星としてきらめく時代がくると固く信ずるものである。

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