地球社会に生きる君たちへ

坂中提案

私は2012年9月、移民政策研究所主催の「『多文化共生』論文・エッセイコンテスト」の開催に当たり、問題提起の一文を産経新聞に寄せた。同年9月8日の『産経』において「地球時代に生きる君たちへ」と題し、次のように語った。

〈政府の人口推計によると、50年後の日本は1人の現役世代で1人の高齢者を支えなければならない社会が訪れるという。若い世代の前途には、現役時代には重い負担を強いられ、老後には何の福祉も受けられない、不公平極まる社会が待っているのだ。日本が人口崩壊を免れる唯一の対応策は、若者が移民を歓迎することである。世界の諸民族を広い心で受け入れ、多様な価値観が共存する日本を創れるかで君たちの未来が決まる。〉

〈地球時代に生きる君たちは、多種から成る人類社会で互いが異なる存在にひきつけられ、結婚と混血を重ねて一つの種に収斂されていく、はるか未来の人類の姿に思いを馳せてほしい。人類は、多様な人種・民族に枝分かれしたが、祖先を同じくするから、同胞意識や異文化への憧れ、共通する文化を多量に持っている。百年後の地球社会を想像すれば、大量人口移動の時代に入っており、異なる民族間の結婚が当たり前の社会になっているだろう。〉

大胆きわまるこの記事は各方面に衝撃をもって迎えられたようだ。産経新聞によると、革命的な移民政策の提案に対する読者からの批判・異論はなかったということであった。移民政策研究所にも坂中批判の声はなかった。意外な展開に驚いた。迫力ある記事を見て移民鎖国派は圧倒されたのだろうか。これを契機に世論の風向きは移民容認へ向かうのだろうか。

日本の保守陣営を代表する産経新聞に移民国家構想を発表したことの意味は大きかった。これによって中道を標榜する『読売』『朝日』『毎日』『日経』の全国紙が移民反対に回る可能性が薄らいだからだ。いや、移民賛成に回る可能性が出てきたというのが正解なのかもしれない。

産経新聞に大胆な移民政策論を発表してから1年が経過しようとしているが、全国紙の論調は移民賛成に向かって一歩一歩前に進んでいるいるように感じる。この秋にはその動きが加速するだろうと見ている。

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