地球共同体社会の創造を提唱する

坂中提案

ホモサピエンスという一つの生物に属する人類は、民族や宗教の相違を克服し、恒久的平和体制を築くのだろうか。あるいは民族や宗教の覇権を争って核戦争を繰り返し、地球上から姿を消す運命にあるのだろうか。

人類の歴史をたどれば、異なる民族間の戦争の歴史であったことは一目瞭然だ。産業文明が成熟期を迎えた21世紀の世界においても、核保有国が増える一方で、民族と宗教の問題に原因する戦争やテロが絶えない。今日の世界は、核開発を進める北朝鮮情勢の切迫化に見られるように、いつ核戦争が勃発してもおかしくない危機にある。万一、地球規模での核戦争が起きれば、人類が滅亡するだけで終わらない。地球上のありとあらゆる生き物も姿を消す。

いっぽうで、世界平和を希求する心が人類のDNAに刻まれていることも事実である。私は人類の良心に訴える。生物の世界の長を自認する人類が、人間のエゴイズムで地球上の全ての生物を皆殺しにすることは断じて許されない。万物の霊長の英知で盤石の世界平和体制をつくる夢が今世紀中に実現することを切に願うものである。地球共同体の創造を提唱する私は、人間の狂気の沙汰で人類を含む動植物を全滅させてはならないと考える地球市民の見識にいちずの希望を託す。

地球上で戦争が絶えない根本原因は、知恵がよくまわる人類の性というべき民族精神と宗教心が排他的な性格を帯びるものに変質し、それぞれの民族が文化や宗教における優位を競って戦争を繰り返すことにある。人類が民族と文化と宗教の多様性を尊重し、かつ、それらの相互関係を「人類は一つ」の普遍的理念と人類共同体精神の下で共存共栄する関係にまで高めない限り、戦争のない世界は永久に実現しないと私は考えている。一方で、核兵器の開発はもはや人間の力ではコントロールできない段階にまで進み、愚かな人類は、核という文明の凶器を使って人間同士が殺し合う、いわば自業自得の自滅への道を歩み始めたのではないかという恐怖の念にかられることがある。

そんな悪夢に襲われたときに私は、次のような世界無比の仮説を立て、今こそ人類史的課題に取り組むため立ち上がるときだと奮い立つ。そのとき同時に、自由と博愛の西洋文明と寛容と平和の日本文明が合体して形成される新世界文明の時代に思いを馳せる。

〈異なる民族と宗教を受け入れる寛容の心がある日本人は、地球上に住むすべての人間  の平和的共存という人類社会がかかえる永遠の課題に挑戦する資格がある稀有の民族  ではないか。人類はあまねく平等に尊いものであって全人類はひとしく生きる権利が  あると考える日本人は、様々な民族や宗教と上手につきあうすべを心得ており、民族  問題・宗教問題を平和的に解決する潜在能力を有しているのでないか。〉

なお、既に私は2014年4月の南カリフォルニア大学主催の「日本の移民政策に関するシンポジウム」において、以下のとおり、坂中移民国家論の二本柱である人類共同体思想と世界平和思想のエッセンスを世界の移民問題の専門家に披露している。

〈日本人は古来、人間はもとより動物、植物、鉱物など自然界に存在するあらゆる物と  心を通わせ、自然に親しみ、そこに神が宿ると信じている。自然と自己を同一視する  万物平等思想(アニミズムの自然観)を抱いている。それは人類を含む万物の共生につ  ながる自然哲学である。万物の霊長の思い上がりを戒める日本人の叡智である。〉

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