在日コリアンと共生する日本人は多民族共同体を創れる 

坂中提案

千年以上も移民鎖国が続く日本は移民の受け入れに適さないという見方が一部にある。

私はそのような考えに異議がある。在日韓国・朝鮮人問題と格闘してきた経験から、日本社会には異なる民族を受容する土壌があり、日本人には移民を受け入れる潜在能力があると考えている。

現在、日本人と在日コリアンが友人関係・信頼関係を確立していることが、その何よりの証拠である。

法務省入国管理局の行政官時代、在日コリアンの法的地位問題に正面から取り組んだが、一筋縄ではいかず、苦闘の連続であった。在日韓国・朝鮮人の日本への移住は日本の朝鮮半島植民地支配に由来するという歴史的経緯もあって、在日コリアンと日本人の関係は葛藤しあう厳しい時代が続いた。

しかし、2000年代に入ると状況が一変し、在日韓国・朝鮮人の結婚相手の9割が日本人であることに象徴されるように、日本人と在日コリアンがうちとけて共生するようになった

私は1970年代後半から、在日コリアンと日本人との間の婚姻状況の推移は両者の和解のバロメ―タ―であると考えていた。

1977年に発表した論文「在日朝鮮人の処遇」において、在日コリアンと日本人の結婚の増加と彼らの子供に注目し、「在日朝鮮人は血縁的にも日本人との関係を深めてきており、このままの趨勢が続けば、数世代を経ないうちに在日朝鮮人の大半が日本人との血縁関係を有する者になることが予想される」と述べた。

その後の在日コリアンと日本人の結婚の増加と血縁関係の深まりは、私の予想をはるかに上回るものだった。

戦後の在日韓国・朝鮮人と日本人の関係の発展の歴史、すなわち対立関係にあった二つの民族が結婚の広がりを通して人間関係の改善を図った歴史は、来るべき移民時代において多民族共生の象徴として語り継がれることになるだろう。

在日コリアンとの深いかかわりの歴史を鏡とし、ニュ―カマ―の移民と向かい合えば、日本人は多民族共同体を創れると考えている。

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