国民の熱意が政治を動かす

坂中提案

今日の日本は少子化と高齢化が同時進行する人口氷河期に入った。出生率の劇的な回復は、当分の間、望めない。政府の出生率の長期見通しも、2010年から2060年まで1・35あたりの低水準が続くと予測している。

成熟した文明社会の日本では、仮に出生率が高まり、人口が増加に転ずる日が訪れるとしても、年少人口が異常に少ないので、人口ピラミッドを正常な形に戻すまでには三世代を要すると覚悟すべきだ。そのうえで、われわれは子供が街から消えてゆく日本のために何ができるかを真剣に考える必要がある。人口危機を正視し、的確な対策を講じない民族は滅びる。

仮に、移民鎖国を続ければ、日本は速度を速めて人口崩壊の道を突き進む。言うまでもなく、人口崩壊は国家・社会・財政・産業の崩壊である。国民生活に破滅的な影響が及ぶ。

人口の自然減の勢いが止まらない日本が生き残る道は、国民が移民を温かく迎え入れること、国が人口ピラミッドを立て直すのに必要な移民を計画的に入れることである。

ところで、国民が新国家の建設に積極的にかかわらず、歴史の必然や外圧によって移民国家に移行するということになれば、現世の人にも後世の人にも悔いが残る。それでは国民が燃えるような精神の高揚を感じることもない。歴史的な仕事に参加したという達成感も得られない。

移民国家の創立という千年に一回の大舞台で主役を演ずるのは国民だ。移民政策の必要性について徹底的に議論し、新しい国づくりに全員が参加し、人類共同体社会を創るビッグチャンスを自分のものにしてほしい。

国民の熱意が政治を動かし、国の形を移民国家へと変えるのだ。同時に、日本人の心のなかにある閉鎖的精神を改め、開かれた心で移民と向き合う。そこから国民が主導的役割をはたす壮大な歴史ドラマが始まる。

私は前途に希望を持てない日本人を奮い立たせたい一心で日本型移民国家の創建を訴えている。しかし、私の真情が日本人の心にどこまで届いたかについては自信がない。

移民に寄せる日本人の感情が好転し、日本人が移民と共に生きることに心の底から喜びを感じるようになるまでには相当の年月が必要なのだろう。

日本人の教養レベルは世界の最高水準にあると言っても過言ではない。八百よろずの神を信仰する日本人は、世界のどの民族よりも広い心で移民を迎える素養があると自信をもっていえる。

100年後の日本人は、三世代にわたる絶え間ない努力が実って、世界のモデルとなる多民族共生社会を築いているだろう。100年前にそれを予言した日本人がいたといわれる時代を空想している。

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