国勢は人口で決まる

坂中提案

今年(2015年)は五年に一度の国勢調査の年だが、国勢を決定するのは人口である。少子化に歯止めがかからなければ国勢は衰退の一途をたどる。人がいなくなれば人間社会は成り立たない。人口が激減すれば産業はばたばたつぶれる。

政府が前回(2010年)の国勢調査の結果に基づき発表した人口将来推計が示すとおり、50年間で4000万人の人口減はどうしようもない事実である。人口は出生者と死亡者と移民で決まるので、移民人口を大幅に増やす以外に人口激減を止める方法はない。

しかし、政治家は、人口問題の重大性と切迫性を知りながら、その本丸に切り込む移民政策の活用に消極的である。政治家が移民政策を忌避する態度を改めないかぎり、2060年に人口1億の大台を保つという政府目標を達成するのは絶望的だ。

移民というと、高度人材を少数だけ受け入れるという考えが産業界や官界を中心に根強くある。そんな中で、政府は、期間限定型の技能実習制度の拡充で人手不足を乗り切る方針を決めた。

だが、長期間の人口減少期に入った日本では、年金・保険などの社会保障、国家財政=税収、生産・消費、こうした「人がいなくなれば必ず起きる問題」はいっぱいある。高度人材を少数入れたり、数年間に限って外国人労働者を入れたりするのでは、国民の数が激減する人口問題の解決には何の役にも立たない。

わたしは、技能職・専門職全般に多数の移民を入れ、移民に技能伝承の担い手となってもらい、同時に社会の一員として税金や社会保障費の負担もお願いしている。移民に門戸を開放すれば、移民の力を借りて日本の活力を取り戻せると考えている。

まずは、後継者難の農林漁業、職人的な技術を売り物にする町工場に移民を入れる。緑豊かの国・日本、モノづくり国家・日本を支えてきた技術を次世代に伝えるのである。さらに、高齢社会に不可欠の介護や医療の分野にも移民を積極的に入れていく。

いっぽうで、これからの教育界では、超少子化の進行により経営に行き詰まる学校が続出する。そこで、移民の教育に、大学や短大、農業・工業高校、職業訓練校など既存のインフラを活用し、日本語、日本文化、専門知識、先端技術を教える。人材育成型の移民政策は、グローバル人材の育成と定員割れの学校の救済に資する一石二鳥の良策である。

移民政策は「新しい日本経済」を打ちだすのに目覚ましい効果を生むだろう。移民人口が増えれば、経済の先行きに対する最大の懸念材料の生産人口の激減が緩和され、移民関連の有効需要が生まれ、多国籍の世界人材の加入で国際競争力が強化されるなど、日本経済の抱える問題の多くが解決に向かう。

長期的な視点に立って移民政策を着実に実施することを条件に、経済の基礎体力を一定水準に保つ「安定戦略」を立てることは可能だと考えている。

たとえば、長年新成長産業と期待されながら、人材不足が最大のネックになって成長戦略を描けないでいる介護福祉産業や農林水産業も、海外から有能な人材が得られれば活路が開ける。

年少人口の減少と老年人口の増加が続く状況下で日本経済を活性化させるには、生産人口と消費人口をふやし、多くの移民関連産業を生みだし、世界から多彩な人材と豊富な投資を呼び込み、もって日本経済を下支えする移民政策が欠かせない。

« »