内閣総理大臣が歴史的決断を下す環境が整った

坂中提案

人口秩序が崩壊に向かう日本は歴史の分岐点に立っている。私は著作活動を通して国民を移民賛成の方向に導くオピニオンリーダーの責任をはたした。その結果、2015年4月の朝日新聞の世論調査で移民受け入れに賛成の国民が51%に達した。同年8月の読売新聞の世論調査では、20代の若者の50%が移民受け入れに賛成という、悲願の達成まであと一歩のところまできた。

平成の政治家の中に憂国の士がいた。待ちに待った朗報が届いた。安倍晋三内閣の閣僚が移民政策を支持する立場を明快に打ち出したのだ。2015年11月8日の河野太郎行革担当大臣の移民受け入れ積極発言と、同年11月24日の石破茂地方創生担当大臣の移民政策推進発言である。移民政策に関する見識と勇気のある政治家の満を持しての登場である。
  
移民は入れないという政府の基本方針に異を唱える閣僚の発言にたいして閣内不一致の批判が上がらなかった。自民党内からも野党からも批判が出なかった。要するに、このことによって政局は微動だにしなかったということである。国のあり方の歴史的転換を迫る主要閣僚の政策提言であったが、政界の空気は何事もなかったかのように流れている。これをどう理解すればいいのだろうか。日本が当面する最重要課題の移民政策について政界の実力者の間であうんの呼吸での事実上の合意が成立したと考えるのが自然だ。

おそらく政治の世界で移民政策に関し甲論乙駁の激論を戦わせる場面は見られないであろう。国民は官邸のシナリオどおり事が運ばれる政治ドラマを見ることになろう。

それは、国論が沸騰する政治課題を、機が熟するのを待って、周到な根回しで解決する日本政治の知恵だといえばそれまでだが、以下は自民党の政治家と親しく移民政策の立案に関わった経験がある私の見方である。
  
話は政治家と坂中英徳の蜜月時代の2008年にさかのぼる。そのとき移民国家構想が一躍脚光を浴びた「日本型移民政策の提言」をまとめた自民党外国人材交流推進議員連盟の遺伝子を引き継ぐ政治家が自民党内に多数いるのではないかと思われる。同議連の有力メンバーの中から移民政策を牽引する政治家が続出するであろう。さらに言えば、自民党議連時代に築かれた私と自民党幹部との同志的関係が移民国家への路線の転轍器の役割を果たすことになろう。

8年前の自民党議連に加盟した政治家と志を同じくする両雄の日本政治史に残る発言で政界最大のタブーが解かれたので、移民立国に向かう政治の勢いが増すであろう。

人口崩壊による日本消滅の危機への対応を急ぐ必要があること、保守本流の政治家が移民受け入れは不可避との立場を鮮明にしたこと、全国紙の世論調査で移民政策を支持する国民が過半数を超えたことなどを総合的に考慮すると、内閣総理大臣が歴史的な決断を下す環境が整ったといえる。

« »