八分までの困難の仕事をやればいい

坂中提案

司馬遼太郎は『竜馬がゆく』のなかで、坂本竜馬に、次のように言わせている。

〈仕事というものは、全部をやってはいけない。八分まででいい。八分までが困難の道である。あとの二分はたれでもできる。その二分は人にやらせて完成の功を譲ってしまう。それでなければ大事業というものはできない。〉

この言葉は今の私の心境を言い表している。願わくはそうありたいと思う。

私がやっている移民国家構想は八分のあたりまできたと思う。人口問題の重大性を指摘し、その解決策としての移民国家理論を完成させた。この10月に出た『新版 日本型移民国家への道』(東信堂)の発刊をもって理論構築の時代は終わった。

あとは世論と政治を動かす仕事が残っている。この二分の仕事はほかの人にやってもらいたい。

私は日本型移民国家への道をつけた移民政策のパイオニアとして象徴的な役割をはたす。もちろん第一線を退くわけではない。仕事の力点を理論の構築からその啓発活動に移すということである。

私が一歩引くことによって移民政策を推進する新しいエネルギーが生まれ、世紀の大事業の完成の早まることが期待できる。

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