全部の仕事をやってはいけない

坂中提案

司馬遼太郎は「竜馬がゆく」のなかで、坂本竜馬に、次のように言わせている。

〈仕事というものは、全部をやってはいけない。八分まででいい。八分までが困難の道である。あとの二分はたれでもできる。その二分は人にやらせて完成の功を譲ってしまう。それでなければ大事業というものはできない。〉

同感である。私がやっている移民国家構想は八分のあたりまできたと思う。人口崩壊の問題を発見し、解決策としての移民政策理論を完成させることができた。あとは、国民世論と政治を動かす仕事が残っている。この二分の仕事はほかの人にやってもらえばよいのではないかと思うことしきりのこのごろである。

私は、日本型移民国家への道を切り開いた移民政策理論のパイオニアとして、象徴的な役割をはたすことに専念したい。もちろん第一線を退くわけではない。仕事の力点を私にしかやれないことに移すということである。私が一歩引くことによって移民政策を推進する新しいエネルギーが生まれ、大事業の完成が早まることを期待している。

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