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入管時代の思い出

  35年の入管時代、心の自由のままにやりたいと思うことを自由にやらせてもらった。2005年3月、法務省の最高幹部から、「坂中さんの歴史は入管の歴史そのものであった」という送別の辞をいただいた。役人冥利に尽きる入管生活であったと感謝している。
 2005年に入管を辞めた後はボランティア活動として入管時代にやり残した仕事すなわち移民政策の立案と取り組んでいる。移民国家という新しい国づくりである。一人で国家百年の大計に挑み、天運を独り占めし、世界の知識人から「日本の救世主」と呼ばれる立場に身を置くことになった。

  50年の職業人生を振り返ると、在日朝鮮人政策および移民政策と死闘を演じるものであった。要するに入管行政の本流を歩んだ。国家公務員を辞めた後も公僕としての矜持を持ち続けた。移民政策研究所所長の立場から天下国家のことを自由自在に論じている。入管法と移民政策の研究にも余念がない。結果的に入管以外の世界のことを知らない専門バカの人間になった。いつも入管と共にあった。「ミスター入管」として生涯を終える定めなのだろう。

  私が入管に就職した1970年代の入管行政の喫緊のテーマは在日朝鮮人の法的地位問題であった。「ニュウカン」という役所は専ら在日朝鮮人の在留手続きを担当するところであった。当時は入国管理局が何をする役所かを正確に知る国民はごく少数で、入管は無名の存在であった。よく税関と間違えられた。

  2020年のいま移民政策で時代が動いた。政治が動いた。2019年4月に施行された改正入管法で在留資格が大幅に拡大された。入管の果たすべき役割も広がった。入管組織を大幅に拡充した出入国在留管理庁が発足した。国民の期待を背負って門出する入管の諸君の責任はこれまでの何倍も重いものになった。

  入管OBのひとりとして入管のますますの活躍を見守っている。