介護移民・農業移民・建設移民の受け入れは待ったなし

坂中提案

人口崩壊へ向かう時代の日本の成長戦略と経済政策の立案には移民政策が欠かせない。そのような立場から介護移民・農業移民・建設移民の受け入れを提案する。

介護移民

新しい成長産業と期待されているが、就労者の確保が困難な状況が続き、思うように成長戦略を描けないでいる介護産業や農業についても、海外から必要な人材が安定的に供給される移民政策に舵を切れば活路が開けるだろう。また、建設技術者の絶対的不足で復興が遅れている東日本大震災の被災地の人々のためにも、2020年の東京オリンピックの開催に向けてインフラを整備するためにも、海外からの建設技術者の受け入れは待ったなしである。

第1に、介護産業を成長産業の代表格に押し上げるためには100万人の移民の力を借りなければならない。2025年には要介護者は755万人、必要な介護職員は今より100万人増えて249万人になると予測されている(厚生労働省推計)。しかし、介護人材が枯渇しつつある現状を鑑みると、思い切った移民政策をとらないかぎり、大幅な増員の確保はもとより現状維持すら危ぶまれる。介護産業を成長戦略の柱に位置づけることも難しい。

すなわち外国人介護福祉士に頼るしかないという結論になる。それも20年間で100万人規模の「介護移民」が必要である。

まず、政府が介護福祉の労働市場を東南アジアの人々に開放し、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどの諸国から大量の介護人材を受け入れる方針を決める。そのうえでそれらの国と「介護移民協定」を結ぶ。そして、それらの諸国の人々が介護福祉士の国家試験に合格できる日本語レベルに達するまで、主として入国前に徹底した日本語教育を実施する。

次に、入管法を改正し、介護福祉士の国家試験に合格した外国人を受け入れる「介護」の在留資格を新設する。永住許可基準および国籍付与基準の見直しも必要だ。たとえば、原則として入国後5年で永住を許可し、7年で国籍を与える。

農業移民

第2に、日本農業の積年のうみを出し、農山村社会の展望を開くのに移民政策を使うべきだ。2010年現在、農業就業者人口は5年前より75万人減の260万人。農業就業者の平均年齢は65・8歳。おそらく5年以内に農業人口は半減するだろう。その結果、消滅する農山村の増加と食料生産量の減少は避けられない。このままでは農業は衰退産業の筆頭になってしまう。

そこで、農業を成長産業として復活させるため、10年間で5万人の農業移民を受け入れ、約40万へクタールに及ぶ耕作放棄地を耕地に戻す「農業移民特区」構想を提案する。

政府は耕作放棄地を中心とする一定地域を「農業移民特区」に指定するとともに、同特区において農業移民の雇用を認める特定農業生産者を指名する。同時に、日本での農林業を志望する世界の若者を日本の農業高校、農業大学校に入れて教育する。特定農業生産者は日本の農業専門学校を卒業した外国人を正社員で雇用する。

特定農業生産者には、日本の農業技術の粋をあつめて品種改良に取り組み、高品質で滋味に富むコメ、果物、食肉などを輸出し、国際競争力のある日本農業の先頭に立ってもらう。

農業移民特区制度が軌道に乗れば、競争原理が働き、中堅農家が共同で法人組織を作り、移民を雇用し、大規模経営に乗り出す機運が高まるだろう。

建設移民

第3に、東日本大震災の被災地の復興を急ぐとともに、2020年の東京オリンピックを無事開催するため、海外から多数の建設技術者を受け入れる必要がある。

今、被災地では建設技術者の確保が大きな問題になっている。日本史上で最大級のインフラ整備と住宅建設には万単位の建設技術者が必要である。しかし、大震災の前から公共事業の大幅削減で建設業の担い手の減少が続いており、国内で要員のすべてをまかなうのは不可能だ。加えて、東京オリンピックの開催で建設技術者の不足に拍車がかかる。

さらに加えて、現在の日本は世界に例を見ない少子高齢化と人口減が進行中である。被災地はもとより国内で建設技術者の獲得が難しいのなら、海外に必要な人材を求めるしかない。その場合、被災地の住民との共生につながる「移民」の地位で迎えるべきだ。建設会社が外国人労働者として低賃金でこき使うのは反対である。

今こそ政府は、被災地の復興のスピードアップを図り、東京オリンピックを成功に導くため、外国人の正しい受け入れ方法とされる「建設移民」の受け入れを決断すべきだ。

世界から建設技術者を礼にかなった待遇で迎え入れれば、意気に感じた建設移民は被災地の再建と東京オリンピックの成功のため尽力してくれるだろう。建設作業に真摯に取り組む移民の姿を見て、被災地の人々と都民は移民に感謝するにちがいない。

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