人類共同体思想は日本の精神風土のたまもの

坂中提案

日本型移民国家構想のような日本の国家ビジョンが世界の注目の的になるのは非常にめずらしいことではないか。世界の知識人は私の移民国家理論のどの部分に関心が高いのだろうか。

外国の知識人と討論した感想をいえば、日本民族をはじめ世界の諸民族がうちとけて一つになる「人類共同体社会の創造」を提案している箇所ではないかと思う。たとえば、昨年4月、私の講演を企画した南カリフォルニア大学日本宗教・文化研究センターのダンカン・ウイリアムズ所長は、移民国家・日本の未来像を描いた私の著作を読み、「真の移民国家ビジョンを提示したもの」「日本の伝統的精神風土から生まれたもの」との感想を述べた。

世界の移民政策の専門家は、人類の多様性を強調し、多文化共生を目標に掲げる。いっぽう私は、人類の同一性を強調し、人類が一つになる地球共同体の理念をうたっている。

それは、世界の模範となる日本型移民国家の建設、地球規模での人類共同体社会の形成、さらに、恒久的世界平和体制の構築を目ざすものだ。近未来の地球社会を見据えた坂中移民国家ビジョンは世界の識者から衝撃をもって迎えられたようだ。

一例を挙げる。2010年11月、世界経済フォーラム主催の「移民に関する世界有識者会議」に出席し、「坂中英徳の『日本型移民国家宣言』」の表題の論文について批判を仰いだ。すると同会議の議長を務める移民政策研究の世界的権威のデメトリー・G・パパデメテリウ氏から、「あなたの論文は私がこれまで読んだ移民政策分野のどの論文よりも新鮮で創造力の豊かなものである。なぜなら、移民の受け入れと社会統合という両立しがたい難問を解決しようとしているからです」との過分の評価をいただいた。

人類は多様な人種と民族に分かれているが、人間の大本は一つである。人間の根の部分の文化と価値観は共通するところが大部分である。もとより、人類は生物分類学上は単一の種に属し、相互にコミュニケートでき、相互に共感し、相互に理解できる存在である。

文化を共通する種としての人類の本質に照らすと、日本が世界初の人類共同体の実現を国家目標に定めても、それは決して夢物語ではない。時間はかかるが、国民が総力を挙げて努力すれば、それを成し遂げることも夢ではないと考えている。

「人類は一つである。人種や民族の違いはあっても同じ人間である。文化や価値観の違いはあってもわずかである」という普遍的な人間観に基づき、世界にあまねく通用する日本型移民国家体系の完成に全力を傾ける。

日本の豊穣な精神風土のたまものである移民革命思想が世界中に広まり、世界の人びとを導く星として煌めく時代に思いをはせている。

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