人類共同体思想と排外主義思想

坂中提案

日本の移民政策の特色は何か。人類が一つになる地球共同体の夢を追い求める点にある。最終目標は諸民族間の和解と恒久的な世界平和の実現である。高大な理想を掲げる坂中構想は世界の識者に衝撃を与えたようだ。

2014年4月、南カリフォルニア大学日本宗教・文化研究センター主催の「日本の移民政策に関するシンポジュウム」における基調講演で日本人の抱く夢と抱負を語った。

〈日本の移民政策は、人口危機に瀕した日本を再生させる国家政策にとどまらない。地球上の諸民族が和の心で平和共存する世界を希求する世界政策でもある。日本の移民革命思想は、日本のみならず世界各国に根本的変革を迫り、すべての民族の共存共栄と世界平和に貢献し、国境を越えて人類の一体化が進むグローバル時代に生きる地球人への最高の贈物になるだろう。〉

それはまだユートピア物語の段階にある。だが、時代精神が混迷の度を深める今、世界平和思想と一体不可分の関係にある人類共同体思想を発表したのはタイムリーであった。西洋人には白人優越主義とキリスト教という一神教の宗教心が精神の根本にある。それこそが、現代の西欧諸国で露わになった移民に対する偏見と差別を生む根源である。

今日、欧米社会で広がる人種差別、移民拒絶、排外主義の世論を鎮静化させることが喫緊の世界的課題になった。フランス革命以後、世界文明を主導してきた西洋文明の限界が露呈する中、それに代わるものとして、日本文明の申し子である人類共同体思想が世界文明の精神の一翼を担う必要があると考えている。

その場合、人種・民族・宗教に甲乙はないと考える坂中理論に普遍性と正義があるので、人類共同体思想が排外主義思想を圧倒するのは論をまたない。もしかすると、人類共同体の理念が世界の移民政策の基本原理と認められる時代が早まり、今世紀前半にそれが訪れるかもしれない。

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