人類の救世主

　人類を含むすべての生物の全滅をもたらしかねない大量核兵器の存在が現実の脅威となる時代に入った今日、人類の未来永劫の生存は人類共同体社会の実現にかかることになった。人類社会は、核戦争に対する反対命題としての人類共同体思想を、日本的感性の持ち主が描いた「極楽浄土の世界」として葬り去るわけにはいかないのである。それは、２２世紀の地球時代を生きる人類が心を一つにして挑戦する世界的課題に発展するであろう。

　「人類は同種で同胞」と考える良識派グループが、人類共同体社会の理念を掲げて世界各地で立ち上がる世界。地球上で人類と動植物が共棲し、多彩な花が咲き誇る世界。生きとし生けるもののすべてが共生する生命共同体世界。２２世紀の歴史家は、天を衝くようなアイディアをつぎつぎと打ち出した坂中英徳を「人類の救世主」と呼ぶかもしれない。