人種差別と移民排斥の時代へ逆行させてはならない

坂中提案

今日の世界を比較文明論的立場から俯瞰し、道義心と普遍性を失った西洋文明の終焉が近づき、これから世界は地殻変動の時代に入ると認識する。今後、人類の英知を結集し、新しい世界精神と世界秩序を模索する動きが出てくるだろう。

その場合、西洋とは異質の精神と文化がある日本文明こそが、新たなる世界文明の創造において重要な役割を果たす必要がある、と私は自分に言い聞かせている。

いま現在、米国、英国、フランス、ドイツで人種差別と移民排斥の考えが広まっている。米国のトランプ大統領を先頭に排外主義者たちが声高々に「移民はノー」を叫ぶ異様な光景が見られる。これが西洋文明の没落の始まりなのかと思うと心が痛む。民族間、宗教間の対立・抗争が激化し、歴史の歯車が狂ったとしかいいようがない。核兵器を使用する第三次世界大戦の勃発の危険をはらむ動きに発展しかねないと不安が心をよぎる。

第二次世界大戦前のように「エスノセントリズム」(自分たちの民族と宗教が一番すぐれているという考え)のイデオロギーが世界を席巻する時代へ世界史を逆行させてはならない、と私は世界の指導者に訴える。日本にとってもこれは決して他人事ではない。

欧米社会で移民・難民問題が危険水域に突入したまさに今、安倍晋三首相が「人類共同体の理念の下に50年間で1000万人の移民を正しく迎え入れる」と、世界の人々に約束する時だ。万人を温かく迎える日本人の豊かな心を世界に示せば、日本は人道危機時代における移民・難民の希望の灯になる。移民と難民に開かれた日本イメージがまたたくまに世界に広がる。21世紀初頭の日本人が世界の一大危機を救ったと世界の歴史に刻まれるれるだろう。

私が打ち立てた人類共同体構想に世界のメディアが関心を寄せている。2016年の晩秋、米国の建国の精神をくつがえすトランプ氏の移民政策に強い危機感を持つワシントン・ポスト、ニューヨークタイムズの取材を受けた。両紙の記者は、人類共同体思想が根本にある日本型移民政策の世界的意義を直ちに理解した。そのとき私は世界の移民政策をリードする責任を感じた。
日本のミスターイミグレーションが提案する移民国家の理念が世界各国で次々と採用される時代を想像すると気分が晴れる。世界の恒久的平和体制の構築=人類共同体構想をめぐって世界の知識人の間で白熱の議論が展開されることを心から願っている。

 

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