人種・民族・国民の垣根のない千年先を空想する

坂中提案

 私の手元に「二十世紀の意味ー偉大なる転換ー」(k.ボールディング著、清水幾太郎訳、岩波新書、1967年)がある。1960年代の学生時代、私が繰り返し読んだ本である。赤線や青線がいっぱい入っている。

 特に、次の部分は赤線と青線を重ねてひいている。このくだりはよほど印象が強かったとみえる。
 
 〈人類の諸人種は互いに十分な性的魅力があるため、遺伝的混合に特別の地理的あるいは文化的障碍がない限り、数千年の間に人類が人種的に単一のものになる可能性が非常に大きく、諸人種間に現存する相違の多くは、除かれることになるであろう。〉

 入管時代にもこの箇所は何回も読み返した。そして入管行政における国際結婚の持つ意義について考えるようになった。

 人類という種社会で互いが異なる人種の性的魅力にひかれてゆく人類像。その結果として人類の多様性がしだいに失われてゆく未来像。はるか遠い未来には人種・民族・国民の垣根がなくなって地球人が誕生。

 私はボールディングの名著に触発され、20代のころそんな空想にふけっていた。ボールディングが言うように、人類は人種的に一つになる方向に向かって進んでいるのだろうか。

 少なくとも現代の世界の若者の生態から認められることは、地球上の国境をまたいで年間億単位の人々が移動する「大量国際人口移動」の時代に入り、様々な民族間の結婚と混血が爆発的に増えている事実である。日本の若者も例外ではなく、国際結婚の数では世界の先頭グループを走っているのではないか。

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