人口崩壊社会の日本には社会革命が必要だ

坂中提案

2005年3月に発行された『入管戦記』(講談社)の第10章(「小さな日本」と「大きな日本」)において、「日本が世界のモデル国となる」と題し、次のように述べた。坂中英徳の問題提起と決意表明である。

〈人口の激減が国家・社会全般に計りしれない影響を与えることは間違いない。人口が増加から減少へ転換する2000年代初期の日本は、明治維新、第二次世界大戦後の大変革に匹敵する根本的な制度改革を迫られる。人口減少時代の到来を契機として、日本人の生き方、日本国の民族的構成、社会経済制度などを根本から見直し、「新しい日本」に生まれ変わらなければならない。〉

〈人口減少問題はヨーロッパの一部の国ですでに経験しているところであるが、日本ほど事態が急激に進み、問題の深刻な国は世界に例を見ない。この問題を考えるに当たっては、モデルとなるような国は存在しないといわなければならない。したがって、日本が世界の先頭を切って、人口減少時代の国のあるべき姿を検討し、その未来像を示さなければならない。日本国の決める人口減少社会への対応策が、未来の世界によい先例を開くものであってほしいと願うものである。〉
私は問題提起と決意表明を行った者の責任をはたすため、専門分野の移民政策、入管制度を根本的に見直し、世界のモデル国となる目標を立て、ここに日本型移民国家構想を打ち立てた。
しかし、人口増加時代に作られた社会・経済・財政・教育などの各制度について根本からの見直し作業は全く進んでいない。旧態依然の日本のままである。関係省庁がこの問題に真剣に取り組む姿勢は見られない。当然である。自らの血を流す改革を官僚機構が行うはずがない。政治に期待するしかないが、政治家はこの問題の所在すら理解していないし、リーダーシップを発揮する気概もないようだ。
いますぐに諸制度の抜本的改革に着手しなければ、たとえ日本が世界の先頭をゆく画期的な移民政策を導入したとしても、若年人口の激減に高齢人口の激増が重なる人口秩序の崩壊によって、生産・消費・税収・財政・年金・社会保障・教育・国民生活のすべてが立ちゆかなくなるのは火を見るよりも明らかだ。
人口激減社会に耐え得る諸制度への改革を先送りする「決められない政治」が続けば、移民国家日本は、手つかずのままに放置された問題の深まりとともに衰退の道に向かうかもしれない。

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