人口崩壊時代の外国人政策の主役は移民

坂中提案

 ここ最近の世の中の動きを見ると、政治家、官僚、学者、研究者、ジャーナリストの間で「移民」という言葉が市民権を得たようだ。人口危機の深まりに伴い、「外国人労働者」から「移民」に外国人政策の主役が交代した。

 2004年2月、国会で移民政策をめぐる議論が始まり、内閣府は「100年間で2000万人の移民を入れる」未来構想を発表した。移民国家をめぐって論戦の火蓋が切って落とされた。

 私はこの6年間、一般社団法人移民政策研究所の所長の肩書きで、「移民」「移民政策」「移民革命」「移民国家」「日本型移民政策」「移民1000万人構想」「人口崩壊と移民革命」などの用語を駆使して論文・著書を多数書いてきた。2013年4月からは連日、インターネット上でもこれらの言葉を使って移民国家構想を縦横に論じている。内外のメディアの取材に対しても同じ姿勢で臨んでいる。

 なぜ「移民」でなければならないのかとよく聞かれる。私の答えはいつも同じだ。「日本人が消えてゆく日本が受け入れるべき外国人は移民」というもの。

 国民が激減してゆく日本には、国民の増加に直結する移民以外の選択肢はあり得ない。移民は国民と同じく、生活者、勤労者、納税者である。移民は社会の一員として、地域経済、社会保障制度、地域社会の安寧秩序を支えてくれる。

 入国時の移民の大半は若い留学生を予定しているから、移民どうしの結婚はもとより日本人との結婚も多数にのぼるだろう。日本人と移民の結婚が増えれば、二世が続々誕生し、出生率の向上に貢献する。

 その一方で、外国人技能実習制度を柱とする外国人労働者の受け入れには強く反対する。およそ外国人労働者は日本に永住する外国人でも将来の国民でもない。つまりいくら外国人労働者を入れても人口問題の根本的解決には何の役にも立たない。

 それどころか、日本版奴隷制度の下で酷使される技能実習生の存在は国民の外国人観をゆがめ、移民政策の導入による人口問題の解決の道を閉ざすことにもなりかねない。それを温存すれば移民国家日本の健全な発展は望めない。人道に著しく反する奴隷制度の即時廃止を求める。

 人口崩壊の危機が刻々迫る日本に必要な外国人は日本に永住する移民だ。「永住者」という入管法上の最高の地位を得た移民は子々孫々日本に住む決意で仕事に励む。日本人との良好な関係を結ぶことに努める。日本社会に速やかに溶け込むべく努力する。そのうち移民の大半が日本を好きになり、日本国民になる。

 欧米諸国の外国人政策の歴史を概観すると、最初は奴隷として、その後は外国人労働者として入れてきた。今日の世界では、移民の地位を保障することが正しい外国人政策とされている。

 移民として迎えることによってはじめて、外国人教育、国民との共生、社会統合、家族の結合、社会保障制度の適用が視野に入ってくるからだ。

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