人口崩壊を免れる切り札――移民人口を増やすこと

坂中提案

113今日の日本は、少子化が進行するとともに、長期間の人口減少期に入った。2060年の日本の人口構成は、若年人口が大幅に減る一方で高齢者人口が圧倒的な高さになる異常事態を迎える。無為無策の政治が続けば、日本の人口秩序は崩壊に向かう。人口崩壊はすなわち国家制度の崩壊である。

人口崩壊に起因する日本の全面崩壊をまぬがれる妙案はあるのだろうか。理論上考えられる唯一の策は、出生者人口と移民人口を増やすことである。要するに、政治が不退転の決意で人口が長期的に安定するとされる2・07の出生率を国家目標に定め、たとえば幼稚園から大学までの教育費の全額を国が負担するなど出生者を増やすのに効果的な政策を実行すること、同時に速やかに移民立国への転換をはかって移民人口を飛躍的に増加させることだ。

念のために付言すると、出生率が2・07に回復し、出生者数が増加基調になるまでには世紀をまたぐ年月を要する一方、移民政策は即効性にすぐれている。政府が移民政策を導入すれば直ちに移民人口が増える。

しかるに、移民国家の議論が始まったのに抗するかのごとく、移民問題を政治の争点にしたくない思惑がある政治家は、50年後の1億の人口目標を掲げる一方で、いまさらながら女性、高齢者、外国人労働者、ロボットの活用を持ち出している。

しかし、たとえばロボットは生産性の向上に資するが、子供を産まない。女性の活用も、女性人口も男性人口と同じように激減するから、人口減少問題の解決には寄与しない。それらの政策は生産力と労働力を高めることが目的の経済政策であって、出生者人口を増やすことが目的の少子化対策とは次元を異にする。

そのような的外れな策をいくら積み重ねても、人口問題の根本的解決には結びつかない。人口増と国民増に直結する移民政策を欠く人口減少対策は絵に描いた餅に終わると明言する。

あるいは、政府首脳の間で移民政策は「万策尽きて最後に出す切り札」として温存しておくという暗黙の了解があるのかもしれない。しかし、仮にそんな空気が政界に蔓延しているとすれば、切羽詰った日本にそんな余裕はないといわなければならない。

超少子化と超高齢化が速度を早めて進行する日本は、いま直ちに移民問題を最重要の政治課題と位置づけ、移民政策論争の帰趨が明らかになるやいなや政府が移民立国を決断するときである。政治が優柔不断の態度をとり続ければ、アベノミクスの失速、財政の破綻、社会保障制度の崩壊へまっしぐらに突き進む――つまり日本は奈落の底に沈むと言ってはばからない。

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