人口動態と国際人口移動と移民政策

坂中提案

どうして私は人口崩壊の時代の日本の最優先の課題として移民政策を提案するに至ったのか。

 その答えは、1975年に書いた論文「今後の出入国管理行政のあり方について」にまでさかのぼる。これはのちに「坂中論文」の通称で呼ばれ、今も日本の外国人政策を考えるうえでの不可欠の文献とされる。

 坂中論文において人口動態と経済発展と国際人口移動の視点から日本の移民政策を論じた。その基本的な立場は次のようなものであった。

 〈国際間の人口移動(移民)について言えば、地球上に人口分布と経済発展の不均等が存在するかぎり、人口過密で労働力過剰の国から人口希薄で労働力不足の国への人口移動が見られるであろう。地球上に富の偏在が存在するかぎり、貧しい国から豊かな国への移動は不可避であろう。〉

 1975年当時の私は、「移民」の入国を認めないという我が国の入国管理の基本政策について、人口動向などを勘案して総合的に判断すると、今後も引き続きとるべき政策であると主張した。その理由は以下のようなものであった。

 〈一国の人口変動は出生、死亡及び移住の三つの要因によって生じるが、現在すでに超高密度国である我が国の人口が近い将来にわたって出生が死亡を上回る自然増加の傾向にあることがはっきりしている以上、日本の入国管理政策はこれからますます深刻の度を加える人口問題をこれ以上悪化させないという基本方針に沿ったものでなければならない。〉

 それから38年がたった。日本の人口動態は180度の転換を見た。日本は人口崩壊の危機に直面している。もちろん移民の入国を認めないとする大前提はひっくり返ったのである。

 今や人口危機の問題をこれ以上悪化させないため、革命的な移民政策の断行を政治が決断すべき時だ。

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