人には逃げてはならない状況がある

坂中提案

国家存亡の秋には、あたかも時代の要請にこたえるかのように、国を救う「革命家」が現れるものである。
それだのにどうして、人口崩壊という未曽有の危機が深まる平成の世に、この問題に命懸けで取り組む「救世主」が現れないのか。改革を先送りする「政治の不作為」が蔓延すると、時間の経過とともに日本列島から日本人が消えてゆき、最期は日本の崩壊に至るのは必至である。
国難に沈黙を決め込む日本人が大勢の平成時代にひとり私は、「人口崩壊には移民革命で」と声をあげた。国民が一丸となって移民革命と社会革命を行う以外に、人口崩壊と日本崩壊を止めることはできないと檄を飛ばした。

「人には逃げてはならない状況がある。そのとき、ちゃんと舞ってみせることが必要だ。責任を果たす覚悟と能力がいる。」(『梅棹忠夫 語る』(日経プレミアシリーズ、2010年))
梅棹忠夫先生が最後の著書で述べられた箴言である。多民族共生国家の実現を目指している私は、先生の平成の日本人への遺言を肝に銘じなければならない。
「未知なるものへのあこがれ」の夢をいだいて一途の道を歩まれた民族学の泰斗は、いま私が行っている「人類未踏の多民族共同体」への挑戦を天国で温かく見守っておられるだろう。
正直、日本の未来に対して負う責任から逃げたい気持ちに襲われることもあるが、梅棹先生が御存命であられたら「あきらめたらあかん。責任を果たせ」と一喝されるにちがいない。
今の私に求められるのは、逃げてはならない状況に置かれていることを自覚し、その時が来たらちゃんと舞ってみせることである。
私が生きているあいだにどれだけのことができるかわからないが、命あるかぎり移民革命の先導役を務める。当代の誰かがそれをやらなければ、100年後の日本人から「平成時代の日本人は何をやっていたんだ」と怒られる。

« »