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世界平和哲学の世界史的意義


 
近時、欧米諸国において自国第一主義者と反移民勢力が台頭し、トランプ大統領の米国など欧米諸国の移民政策が行き詰まりの様相が誰の眼にも明らかになる中、世界の慧眼の士の間で人類共同体思想を評価する動きが出てきた。その代表例の一つを紹介する。私の移民政策論の集大成の論文集:『日本型移民政策論集成』(移民政策研究所、2019年)の英語版が米国の出版社から発刊された。「Japan as an Immigration Nation:Demographic Change, Economic Necessity, and the Human Community Concept」(LEXINGTON BOOKS 2020)である。この本の眼目のセオリーは副題の「the Human Community Concept」の部分である。反移民の声の高まりが見られる欧米社会が、人類共同体社会の理念をうたい上げた坂中理論にどのような反応を示すのか、興味しんしんである。

先進国の中で唯一移民鎖国を続ける国の住人である坂中英徳がなぜ崇高な理想を掲げて世界に打って出る気持ちになったのか。100年後の世界の姿を思い浮かべると、「人類は平等で一つ」という人類像を抱く日本人は人類同胞意識を持つ地球市民に大化けし、今世紀末までに人類共同体社会を創る可能性がある。いっぽう、宗教と人種における優越的感情が本性としてある西洋人が人類共同体社会を創るのは至難の業である。そのためには、西洋人の心に染みこんでいる排他的な民族性を拭い去る必要がある。以上に述べた両者の根本的な違いが私の脳裏に刻まれているからである。

人類共同体世界の創成において日本がリーダーシップを発揮しなければ一歩も前に進まないと私は考えている。そのような意味において前記英文図書の出版は誠に時宜を得たものであったと言える。わたしはこの本を携えて世界に進出したいと思っている。