世界平和哲学の世界史的意義

坂中提案

民族や文化の異なる人と人との平和共存の前途は険しい。人類史の書をひもとけば、異なる民族間の戦争の歴史であったことは歴然としている。文明が進んだ二十一世紀の世界でも、人類の本性ともいうべき生存闘争に起因する戦争が頻発している。動物に一般的に見られる縄張り争いや子孫を残すための闘いは人類の性なのだろう。

しかし、その一方で平和を希求する心が人類のDNAに含まれているのも事実である。人間の理性と平和を願う心を結集すれば世界平和体制を創る夢がかなうと信じるものである。人間と人間が戦争を繰り返し、人類を全滅させてはならないと誓う文明人の良心にかける。

地球上で戦争が絶えないのは、人類のこころに根ざした民族問題と宗教問題が根本原因であることは疑いない。人類がこの二つの問題を解決しない限り、世界平和の夢は永遠にかなわない。
 
私は、世界の主要民族の中で民族問題と宗教問題を解決する能力のある唯一の民族が日本人ではないかと考えている。そのように考える私は、移民国家日本が目ざす究極の目標として、世界の諸民族が一つになる地球共同体社会の創造を掲げている。

昨年4月、南カリフォルニア大学主催の「日本の移民政策に関するシンポジウム」において人類共同体思想と世界平和哲学を世界の移民問題の専門家に披露した。

〈日本人は古来、人間はもとより動物、植物、鉱物など自然界に存在するあらゆる物と心を通わせ、自然に親しみ、そこに神が宿ると信じている。自然と自己を同一視する万物平等思想(アニミズムの自然観)を抱いている。それは人類を含む万物の共生につながる自然哲学である。万物の霊長の思い上がりを戒める日本人の叡智である。
 八百万の神々を受け入れ、地球上に存在するすべての人種・民族はみな平等であると考える日本人こそが、人類の悲願である地球共同体を創造できるのではないかと考えている。〉

私の親友に敬虔なイスラム教徒がいる。27年前に難民として日本に来たパキスタン人である。いま、東日本大震災の被災地に家族ともども移住し、支援活動に熱心に取り組んでいる。彼は多数の被災者の尊敬を集めている。

そのパキスタン人は私の移民革命思想の信奉者である。2013年2月、彼を激励するため宮城県の被災地を訪れた際に、彼は人類共同体思想の世界史的意義を強調し、それは「アニミズムの宗教心が根底にある坂中さんのユニークな発想のたまものである」と述べた。そのうえで人類共同体社会の理念の将来を予言した。

「坂中さんの人類共同体思想は世界に広まり、世界平和に貢献する。神の加護があるので近未来の地球社会で人類共同体社会が実現している。坂中さんは世界の救世主になる」。

信仰心の篤いイスラム教徒が真剣な顔で「坂中英徳は世界の救世主」と熱をこめて語るのを聞いてびっくり仰天した。異国の神の助けがあって二十二世紀には坂中構想が具体化しており、世界平和が現実のものになっているという。

在日パキスタン人の予言が適中するかどうかは不透明であるが、日本人の和の精神から生まれた世界平和哲学が世界の人々の胸にひびき、世界の普遍的理念の一つになる望みはなきにしも非ずと思う。

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