世界の救世主と呼ばれる日本人

坂中提案

私は35年間の外国人行政の経験を生かし、100年先を視野に入れた移民国家像を立てた。これほど野心的な国家ビジョンは世界にもあまり例がないのかもしれない。

ある日本人ジャ―ナリストは私の未来構想を「実に壮大なユートピア計画」と紹介した。理想郷の建設をめざしていると言われればその通りである。問題はそれが十分な説得力を持ち、多くの国民の理解が得られたかである。
 
私は人口崩壊の危機が迫る日本を救いたい一心で移民国家の理想像を描いた。日本列島で世界の諸民族が平和共存する「多民族共同体構想」である。

今年に入って移民国家をめぐる議論が活発化したが、私の移民国家論の要の「人類共同体論」に注目する日本の知識人は皆無と言ってもいいのだろう。世界の頂点をめざす移民国家ビジョンは夢物語に過ぎないと軽く受け流されたのだと思う。移民革命思想の伝道者としてより説得力のある理論の構築に努める。
 
移民に寄せる日本人の感情が好転し、国民が移民と共に生きることに喜びを見いだすようになるまでには相当の年月を要すると覚悟している。さりながら、時間はかかっても、賢明な国民は移民を温かく迎え入れ、多民族共生社会は実現すると信じている。
 
日本人の教養レベルは世界の最高水準にあると言っても過言ではないだろう。八百万の神がみを信仰する日本人は、地球上のどの民族よりも広い心で移民を迎える素質があると理解している。

話は飛躍し、遠い未来に移る。100年後の日本人は人類の理想郷の人類共同体社会を樹立している。日本生まれの移民国家の理念と平和哲学は世界の識者の通念となっている。
 
私の親友に敬虔なイスラム教徒がいる。26年前に難民として日本に来たパキスタン人である。いま、東日本大震災の被災地で支援活動に熱心に取り組んでいる。
 
彼は私の移民革命の信奉者である。2013年2月、彼を激励するため被災地を訪れた際、人類共同体の理念の未来を預言した。

〈坂中さんの人類共同体思想は世界平和に貢献する。神の加護があるから近未来の地球社会で人類共同体の理想が実現する。坂中さんは世界の救世主となる。〉
 
2006年3月の『ジャパンタイムズ』で日本の「救世主」とイギリス人ジャーナリストから紹介されたことがあるが、世界の「救世主」と呼ばれたのは初めてだ。それを異国の神様が助けてくれるのだという。在日パキスタン人が真剣な顔でそう語るのを聞いて驚いた。

世界平和を願う心は国籍も民族も宗教も関係ないのだろう。そのパキスタン人の長年の友人の話によると、信仰心が篤い彼の預言は不思議と的中するということである。

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