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世界の投資家の対日投資戦略

私は2014年3月、日本の移民政策の動向に関心を持つ米国最大手の投資顧問会社(4社)の幹部たちと会った。

はじめに私から、同年2月の衆議院予算委員で安倍晋三首相が「移民の受け入れの国民的議論」を呼びかけた国会答弁の歴史的意義ならびに移民1000万人構想のエッセンスを説明のうえ、2020年の東京オリンピックの開催前に日本は移民国家の礎を築く必要があると力説した。

続いて、日本の移民政策と対日投資行動の関連をテーマに世界の投資家と討論を行った。以下は、そのときの彼らの見解を要約したものである。

〈この10年ほど、生産人口と消費人口が減る日本を投資対象国と見ていなかった。人口危機の問題を解決する有効な手を打たない日本に失望していた。移民政策については議論すらされない状況が続いていたので、日本政府はやる気がないとあきらめていた。〉

〈坂中構想の年間20万人の移民受け入れでは生産人口の激減をカバーするのには不十分だ。将来は移民の数をもっと増やす必要があるが、当面は、移民に加えて女性と高齢者の活用で生産人口の不足を補うしかないだろう。〉

〈日本の移民政策は、財政破綻の問題、アベノミクスの成長戦略、世界の投資家の対日投資行動と密接に関連する。なかでもわれわれの日本の移民政策をにらんだ対日投資戦略いかんが日本経済に大きな影響を及ぼす。坂中移民国家構想の早期実現を期待する。〉

世界の投資家たちとの議論を通して私は、世界の巨大投資家グループの対日投資戦略と日本の移民政策は完全にリンクしていること、日本が移民大国に転換すれば世界の機関投資家は日本買いに向かうこと、それが契機となって日本経済は新たな局面に入ることを確認できた。

すなわち、日本政府が移民開国を決断すれば、移民大国の誕生を待ち望んでいた世界の投資家は日本への積極投資に向かう。それが起爆剤となって、株価の急騰、不動産価格の上昇、デフレ経済の終息、移民市場の拡大など、日本経済の発展を支える新エネルギーが生まれる。移民開国による経済の好循環が日本経済に与える経済効果は計り知れないものがあると、そのとき私は思った。

2018年10月現在の私は、移民開国の経済効果それにとどまらないかもしれないと思っている。人口が頭打ちから減少に向かう中国経済の失速、英国のEU離脱、自由貿易体制からの離脱に向かう米国経済、米中貿易戦争の激化などが重なって世界同時不況に陥るおそれすらある今日の世界経済を活性化する役割の一端を、新興の移民大国で老舗の経済大国の日本が担うことになるかもしれないと想像している。